笑倒
首を吊って死んだ者は成仏(じようぶつ)できず、首吊り幽霊になってこの世をさまよっている。首吊り幽霊が成仏するためには、自分の身代りとして、新しい首吊り人を見つけなければならないのである。
さて、ある男、博打(ばくち)で負けて財産をなくし、もう暮して行くことができなくなったので、梁(はり)に縄を掛けて首を吊ろうとした。すると突然、梁の上に首吊り幽霊があらわれて、
「早く首をおくれ」
といったので、男は腹を立てて、
「よくもそんなむごいことがいえたもんだ。おれは何もかも取られてこのざまなのに、この上まだ首まで取り上げようというのか」