笑府
ある男、借金取りがやってきていくらことわっても帰らないので、
「あんたはわたしに、どうしてもほんとうのことをいわせたいのか」
というと、借金取りは黙って帰って行った。
男はその後、借金取りがくるたびに同じことをいった。すると借金取りはやはり黙って帰って行く。
ある日、また借金取りがやってきて、
「もう我慢がならぬ。たとえあんたがなんといおうと、わしはこわくないぞ」
という。男が、
「それでは、わたしにほんとうのことをいえというのだな」
というと、
「ああ、いってもらおう」
「それならいおう。わたしは絶対に金は返さん」