笑府・広笑府
ある男、酒と女が過ぎたため病気になり、医者に相談した。医者が、
「古来女色は身を切る斧にたとえられております。あなたの場合は酒もですから、二本の斧で身を裂くようなものです。今後は両方とも絶対におつつしみになるよう」
というと、傍で病人の妻が、うらめしそうに医者の顔を見たので、医者はその気持を察して、
「女色の方はまあまあとして、酒だけは絶対におつつしみなさい」
といいかえた。そこで病人が、
「女色の害は酒よりもひどいということですが……」
というと、妻が、
「あなた! 先生のおっしゃることをきかないと、病気がなおりませんよ」