笑府
ある道学先生、房事を行なう際には、下着をぬいで一礼し、大声でいう。
「わしは色を好んでかようなことをしようとするのではない。先祖の供養をする者を絶やすまいと思ってするのじゃ」
そして一突きすると、またいう。
「わしは色を好んでかようなことをしようとするのではない。お上(かみ)のために人口をふやそうと思ってするのじゃ」
そして一突きすると、またいう。
「わしは色を好んでかようなことをしようとするのではない。天地のために万物の生成を願ってするのじゃ」
そしてまた一突きする。
ある人がそれをきいて、
「四突きめにはなんというのだろう」
ときくと、物知りがいった。
「道学先生は三突きでもうおしまいなんだ。それ以上、なんのいうことがあろう」