雪濤諧史
ある男、妻に怒られて指締めの刑を受けることになった。
「さあ、持っていらっしゃい!」
といわれて、
「うちにはそんな道具はないよ」
というと、
「お隣りへ行って借りていらっしゃい!」
という。男は仕方なく借りに出かけたが、そのとき口の中でぶつぶついったところ、呼びもどされて、
「あなた、いま口の中で何といったのです!」
と問い詰められた。
「さあ、いいなさい!」
「何も不服をいったわけじゃないよ。ただ、うちにも指締めの刑具を一揃い買っておいた方がいいなといっただけだよ」