笑林広記
ある医者、病人に薬を飲ませ、脈をとってから、うなずいていった。
「薬を飲むと腹が張ってきて、おならが出るはず。そうすればもう、安心です」
しばらくすると、ぷうっと一発、音がした。医者がよろこんで、
「それそれ、わたしのいったとおりでしょう。もう大丈夫」
というと、見舞客の一人が、
「じつは、いまのはわたしがとりはずしましたので……」
といった。
「なに? あなただと? それでもよろしい。いずれにしても放屁であることには変りはないのだから」