笑府
ある武官、夜廻りをしていて一人の男を見つけ、捕えて訊問した。
「夜行が禁じられていることを知らぬわけではあるまい。なにゆえにそれを犯したのか」
「わたしは学生です。試験を受けに行って帰りがおそくなったのです」
「なに、学生だと? ほんとうに学生なら、わしが一つ試験をしてやろう」
「では、問題を出してください」
そこで武官は頭をひねって問題を考えたが、何も出てこない。仕方なく、どなりつけた。
「もうよい。行け! きさまは運がよかったぞ。今夜は問題が一つもないんだ」