淮南子(氾論訓篇)
楚(そ)の北にやくざ稼業の男がいた。その息子がしばしば意見をして、やめさせようとしたが、いっこうにきかない。
やがて仲間が県城で事件をおこし、男はその一味として役人に追われた。男は夜中に県城を脱出したが、役人が追跡してくると、仲間のやくざたちが役人をふせいで男を逃した。
男は逃げのびて家にたどりつくと、息子にいった。
「おまえはしばしばおれに意見をしたが、やっぱり、やくざは頼りになる。やつらのおかげでおれは今夜、難をまぬがれることができたのだ。今後はもうおれに意見をするではないぞ」