笑府
年頃の娘を持った貧乏な親父、手に職を持った男を婿にしたいと物色していたところ、仲人が雀を刺すのがうまい男の話を持ってきたので、それならいくらかでも日銭がはいるだろうと思って、さっそく婿に迎えることにした。
さて、婿入りもすんで三日たったので、婿に稼ぎに出るよういいつけたが、新婚早々あまり働かせるのも可哀そうだと思って、雀十羽だけ取ればよいといった。ところが、日が暮れても婿は帰ってこない。どうしたのかと様子を見に行ってみると、婿は竿を持って雀のくるのを待ちかまえていた。
「まだ十羽取れんのか」
ときくと、婿のいうには、
「もうすぐです。あの一羽が取れたら、あとは九羽だけですから」