笑賛
ある秀才、まきを買おうとして、まき売りにいった。
「薪(しん)を荷(にな)う者、ここへ来い」
まき売りは「ここへ来い」という言葉がわかったので、まきをかついで秀才の前へ行った。すると秀才は、
「その価幾何(いくばく)ぞ」
といった。まき売りは「価」という言葉がわかったので、値段をいった。すると秀才は、
「外(そと)は実(じつ)にして内(うち)は虚(きよ)、烟(えん)多くして焔(えん)少なし、請(こ)う之(これ)を損(そん)せよ(まけてくれ)」
といった。まき売りは何をいっているのか全くわからず、まきをかついで行ってしまった。