笑倒
受験勉強のために寺に寄宿している書生、毎日外へ遊びに出ていたが、ある日突然、昼ごろに帰ってきて、小僧に、
「書物を持ってきてくれ」
という。小僧が『文選(もんぜん)』を持って行くと、
「これは低い」
というので、『漢書(かんじよ)』を持って行くと、また、
「これも低い」
という。そこでこんどは『史記』を持って行くと、やはり、
「これも低い」
という。小僧が和尚にそのことを話すと、和尚は、
「その三書は、一書に通じているだけでも大学者といえるのに、どうしてどれも低いというのだろう」
と不審に思い、書生のところへ行ってきいてみると、書生は、
「枕にするのですよ」
といった。