笑倒
ある家で家庭教師を頼んだが、いつも食事がお粗末であった。
ある雨の日に、下男が運んできた食事を見た先生、骨ばかりで肉が少ししかついていない料理を見て、腹いせに、持ってくるのがおそいといって下男を叱りつけた。すると下男は、
「雨で路が滑るものですから」
といった。
「なに、滑る? よし、『滑』という字が書けたら、打つのをゆるしてやろう」
すると下男は料理を見ながらいった。
「一点、また一点、それにもう一つ斜めに一点はねあげて、あとは骨ばかりです」