笑禅録
ある僧侶が、大勢の仲間が集まったときにきいた。
「『音』という字の下に『心』という字をつけたら、何という字だ?」
すると、ある者は、
「そんな字は見たことがない」
といい、ある者は、
「いつか古書で見たことがあるような気もするが……」
といい、ある者は、
「いつも見かける字のようだが、どうも思い出せない」
といい、ある者は指先で机の上に書いてみて、
「そんな字はないよ」
といった。
そこで、はじめの僧が、
「『意』という字だよ」
というと、一同は、
「なんだ、そうか」
といって、どっと笑った。