応諧録・笑府・広笑府・笑林広記
張〓子(ちようくし)という男が寝台を修繕して綺麗にしたが、寝室の中にあるので、人の眼につかない。そこで仮病(けびよう)をつかって寝台の上に寝、親戚友人に見舞に来させてそれを見せた。
その親戚の一人に尤揚子(ゆうようし)という者がいて、靴下を新調したので人に見せたくてならず、わざと裾(すそ)をまくり上げ、足を膝の上に乗せて椅子の上で胡坐(あぐら)をかき、そしてたずねた。
「君は何の病気だね」
張〓子は尤揚子のそのありさまを見て、顔を眺めて笑いながらいった。
「僕の病気も君の病気と同じだよ」