笑府
『論語』に次のような一章がある。
子曰く、甚しいかな、わが衰えたるや。久しいかな、われまた夢に周公を見ざるや。(述而篇)
さて、子供に『論語』の素読を教える先生、急に眠くなって、つい、うとうとと眠ってしまった。そして、はっと気がつき、あわてて、
「わしは夢に周公を見ていた」
といった。
翌日、こんどは子供が居眠りをしだした。先生が笞(むち)で机をたたくと、子供は眼をさまして、
「わたしも、夢に周公を見ていたのです」
といった。
「それではきくが、周公はおまえに何といわれた?」
「はい。きのう先生には会わなかったとおっしゃいました」