笑倒・笑得好
大法螺(ぼら)を吹くことの好きな男が、
「おれの郷里の寺には、千人もの者がいっしょに足を洗うことのできる桶があるんだ」
というと、一人が、
「そんなものは別に珍らしくもないよ。おれの郷里にはもっとすごいものがある。それをきいたら君たちもびっくりするだろう」
「それは何だね」
「郷里の寺に竹林があるんだが、竹が生えてから三年もたたない間にぐんぐん伸びて何百万丈にもなり、いまは天に突きあたってしまって伸びられないもんだから、こんどは天から下へさがってきたんだ。どうだ、おどろいたか」
「そんな長い竹があるものか」
と人々がいうと、その男、
「その長い竹がないとすれば、いったいどんな竹でさっきの大きな桶のたがをはめるんだい?」