笑賛
顔淵(がんえん)は孔門十哲の一人で、徳行では第一に擬せられている。
さて、ある金持の息子の学生が、国学の教官を買収して「徳行」の表彰を受けることになった。そこである人がその金持の息子にいった。
「顔淵は貧乏だったといわれていますが、もともと彼には負郭(ふかく)の田(城内に近い美田)が十頃(けい)もあって、貧乏ではなかったのですよ。貧乏になったのはずっと後になってからのことです」
「どうして貧乏になったのです?」
「その田を売って『徳行』を買ったからですよ」