笑府
『論語』に次のような一章がある。
子曰く、賢なるかな回(顔淵)や。一箪(たん)の食(し)、一瓢(ぴよう)の飲(いん)、陋巷(ろうこう)に在り。人はその憂(うれい)に堪えざるも、回やその楽(たのしみ)を改めず。賢なるかな回や。
さて、酒と女遊びの好きな男が、賄賂(わいろ)をつかって「徳行」の表彰を受けることになった。ある人がそれをあざけって、
「顔淵という人は負郭の田を持っていたというのに、どうしてあんなに貧乏になってしまったのだろうな」
というと、一人が、
「彼は箪食瓢飲(たんしひよういん)したからだよ」
といった。するともう一人が、
「いや、女遊びも酒飲みもせずに『徳行』の株を買ったからだよ」
といった。
箪食瓢飲(たんしひよういん)は、単是嫖飲(たんしひよういん)(もっぱら女郎買いと酒飲みをする)と同音である。