笑府
赤目をわずらった男、いろいろ治療をしたがなおらずに困っていたところ、ある人から自分の小便を塗ればよいと教えられ、物は試しとやってみたら、なおった。
ある日、道端で小便をしながらそのことを思いだし、一物に向っていった。
「おまえのおかげで目がなおったのだから、何かお礼をしなければならんが、頭巾を作って贈ろうにもおまえは時によって大きくなったり小さくなったりするし、服を作って贈ろうにもおまえは時によって長くなったり短くなったりするし……」
通りがかった人が不審に思って、
「何を独りごとをいってなさる」
ときくと、
「いや、なに。薬代のことで相談しているんですよ」