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美女入門60

时间: 2019-07-30    进入日语论坛
核心提示:女の足に歴史あり ある時、私の友人がこう言った。「アメリカ人とかヨーロッパの男と結婚する女ってさあ、顔はどんなにブスでも
(单词翻译:双击或拖选)
 女の足に歴史あり
 
 
 ある時、私の友人がこう言った。
「アメリカ人とかヨーロッパの男と結婚する女ってさあ、顔はどんなにブスでも足はすごく綺麗《きれい》よ。見てごらん」
 確かにまわりを見渡してみると、外国人の奥さんになっている女性というのは、足がすらーっと伸びている。自分も外国暮らしを経験していて、外交官とか日本支社長夫人といったおハイソな生活をしている人ほど足が�外人化�している。ストッキングをはかず、こんがりと灼《や》いているのが特徴だ。もちろんこういう女性たちは、顔もすごく綺麗です。
 つい先日、週刊誌のグラビアを見ていた私は、思わず�ヒェーッ�と声を上げた。来年の各社のキャンペーンガールとなる若い女性五人が水着となっているのだが、その足の長いこと、カッコいいことといったらない。膝《ひざ》から上も、膝から下もまっすぐで、しかも形が美しいのだ。日本の女のコの足もここまでになったのかと、私は感慨深いものがあった。
 昔のことである。私はケニアにサファリツアーに行った。仲のいい女のコ五人でツアーに参加し、それはそれは楽しかった。奥地へ入り、毎日トラックに乗ってライオンや象を見に行くのである。野生の象を見るのなんか初めてで、私は珍しさいっぱいであった。望遠鏡を片手に、一日中動物をウォッチングしたものだ。
 ところが象やライオンと同じぐらい、現地の人を驚かせ、目をひいたものがあった。それは私の足である。当時の私は、今よりもずうっとぽっちゃりしていて、足が太かった。色が白いから、ますますビッグに見える。アフリカの人々は、ご存知のとおり全くぜい肉のついていない足をしている。そういう彼らにとって、私の足は、私が象を見た以上の驚きだったようだ。よせばいいのに、私は旅行中ずうっとショートパンツをはいていた。ガイドのアフリカ人が私の足をよく見てるなあ、と感じていたのであるが、まさか彼が友人を連れてこようとは思ってもみなかった。
「見ろ、見ろ、この足」
 とでもいうようなケニア語で喋《しやべ》りながら、皆で私の足を取り囲んだのである。中には、
「カラテ! カラテ!」
 などという単語を発する不届き者もいた。つまり日本の空手をやっているから、こんなに太くなったんだろうと言っているのである。
 乙女としては、かなり悲惨な状況である。怒り狂ってもいい。しかし私はケニアに対して、今でもいい印象を持ち続けている。それはなぜかというと、足は人々の目を見張らせる異形のものだったとしても、私の顔というのは典型的アフリカン・ビューティだったからである。向こうで絵ハガキを買ったところ、ケニア美人の一枚があり、友人たちは私にそっくりだとびっくりしたものである。かなり本気で、あんたなら牛何頭でも取り替えると言われた。日本に帰ってきてから何年か後、ケニア関係のパーティに出席したところ、あちらの外交官から、
「日本に来て二年、あなたのように美しい女性に会ったのは初めてだ……」
 と言われたのも本当。友人から、世界にひとつ、そういう地域が存在しているって、心の慰めになるわよねえと、さんざんからかわれたものだ。
 話が大きくそれてしまった。そのくらいぶっとい足をしている私は、着るものについてさまざまな工夫を凝らしてきた。まずスカート丈には頭を使った。どんなに流行しようとも�皇室丈�とでもいうのだろうか膝下のスカートははかない。あれは足がうんと太く見える。膝上のミニに同色のタイツというのが、私の長年のやり方だ。
 恐怖なのは夏ですね。いい年をして、ソックスを穿《は》くのもはばかられる。肌色ストッキングも好きではないから、夏は裸足《はだし》にパンツというパターンがいちばん多いかもしれない。ロングスカートに生足サンダルというのも時々するが、これは脱毛がうまくいったおかげである。
 足のムダ毛には、本当に苦労してきた私。信じられぬような悲劇も多々ある。明日は男性と海へ行くという前の夜、真夜中に買ってきたワックスを使おうとした。普通こういう場合、使う前に説明書をちゃんと読むものである。が、万事にだらしない私がそれを拡げたのは、ワックスを火にかけて溶かし、足にべったり塗った後であった。
「塗ってから五分後、チューインガムの固さになった時、毛の方向に向かっていっきにはがしてください。固まる前にはがすよう、充分注意すること」
 充分注意することといっても、私の足のワックスは、もはや石膏《せつこう》のようにカチンカチンに固まっている。押しても叩《たた》いても、ぴくりともしない。時計を見た。もはや午前三時。朝の七時に待ち合わせしているのに、どうしよう。涙が出た。死にたくなった。やがて考えた揚げ句、千枚どおしを探してきて足に突き刺した。少しヒビが入った。そこから指を入れて剥《は》がす、というよりワックスを崩していく。毛穴から血がどっと噴き出し、その痛いこと、痛いこと。これに懲りてお金を貯めエステに通った結果、足の毛はようやくなくなった。
 長年苦労を重ねたせいか、私の足はかなり細くなったみたい。女の足に歴史あり。顔と同じぐらい物語がひそんでいるのである。
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