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美女入門161

时间: 2019-08-22    进入日语论坛
核心提示:新たなる旅立ち先日私は、本当に久しぶりに体重計に乗った。そして、ガーンと後頭部を殴られたような気分になった。体重がもの凄
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新たなる旅立ち

先日私は、本当に久しぶりに体重計に乗った。そして、ガーンと後頭部を殴られたような気分になった。
体重がもの凄《すご》く増えているじゃないか。昨年のいちばん痩《や》せている時に比べると、なんと七キロも増えている! 七キロだよ、七キロ。普通の人だったら自殺しかねない数値だ。
私は嘘でも誇張でもなく、涙がこぼれてきた。このところシュッサン、引っ越し、という大イベントがあり、ちょっと自分を甘やかしていたのは事実である。ダイエットよりも、まず体を第一に考えることだと自分に言い聞かせてきた。その結果がこれである。
そうはいっても、ちゃんと注意はしてきたつもり。食べ過ぎた時は夕飯を抜いたし、ケーキも極力避けてきた。それなのに、それなのに……。
思えば私の歴史は、肥満との戦いといってもよい。デブは私の宿命だろうかとあきらめたこともある。が、私は頑張った。あきらめてはいけないと、自分に何度言い聞かせてきたことか。
が、体重の増減が私の人生を決めた、というのは事実だろう。うんとデブの時、好きな男の人にそれとなくほのめかされたが、きっぱりと断ったことも一度や二度ではない。このお腹の肉を見せるぐらいなら、プラトニックラブでいようと思ったのである。
しかし、したらしたで、ものすごく心配になる。彼の目に私はどう映っていたのかしらん……。こういう場合、パンツ一枚になって鏡の前に立つのはよくあることです。が、私はもっといろんなことをやる。鏡の前に寝転がって、お肉の具合を点検したのですね。その結果、こういうポーズをとると、私のウエストは全く行方不明になることがわかった。ただひとつの勝負どころといえる胸も、ぺったんこになる。
そう、まっすぐに寝るとさ、お腹の肉も目立たなくなるが、胸も目立たなくなる。これじゃプラスマイナス・ゼロ。私の場合、何もいいとこ、ないじゃないか。それでも私から持ちかけた話ではなく、あちらから、ぜひ、と言ったことであるから、多少のことにはがまんしてもらわなくっちゃ……。とあれこれ考えた経験は、誰にでもあると思う。えっ、私だけかしらん。
ところで私は、十年前にさる高級スポーツクラブに入っていた。ここでシェイプアップするはずだったのであるが、私のことだからこの数年サボって全く行っていない。風の噂によると、別の高級スポーツクラブが最近つぶれて、そこにいた芸能人の方々が大挙してこちらに移ってきたそうだ。ジムへ行くと、それこそものすごいスターがいっぱいいると聞いて、ますます行けなくなってしまった。
このあいだ、かの超人気女優、パーフェクトボディを誇るA子さんにお会いしたところ、彼女も最近入会したことがわかった。
「えっ、じゃ泳いだりするんですか。水着になるんですか」
ちょっとォ、私が生ツバ呑《の》み込んでどうするんだ。
「ええ、もちろん」
と彼女は、にっこり笑って答えた。
「そいで、そいで、その後、お風呂《ふろ》にも入るんですか。あの大きなお風呂」
「入りますよ。それがどうかしましたか」
いけない、まるで自分が男になったように興奮してしまった。
そんなわけでかのスポーツクラブには、ますます行きづらくなってしまった。が、あの体重を見た私の心は暗く沈む。
「もう私は、二度と恋が出来ないんじゃないだろうか……」
すると何と、私の目の前に「スポーツクラブ入会、今なら50パーセントOFF」というポスターが飛び込んできたではないか。商店街の中にある、ごくごく庶民的なクラブである。私は、ついふらふらと扉を押した。
お、ここは何であろうか。外国人がいっぱいいて、まるでロスかサンフランシスコにいるみたい。受付にいるコも、日本人ではない。私は英語で言った。
「ちょっとォ、日本語が出来る人をお願いしたいんだけど」
「OK」
見よ、私の英語力。すぐに日本人女性が現れたではないか。彼女の説明によると、ここは場所柄、外国人がとても多い。会員の三分の一はその種の人々ということである。アホな私の頭の中は、たちまち空想で埋まる。トレーニング中のスパッツ姿の私に、トムが声をかける。
「ハーイ、マリコ。頑張ってるね」
「ハーイ、トム。そうなの。おかげで体重もぐーんと減ったわ」
「オオ、君はそれ以上に痩せる必要はないよ。パーフェクトさ」
「そうね、私もそう思うわ。この後、一緒にビールでもいかが」
何でも、英会話のレッスンの授業もあるというからリーズナブルだ。おまけに、年会費は十万円という安さ。私はすぐ隣りの銀行へ走り、キャッシュをおろしてそこの会員となった。
そんなわけで、私はすっかり心を入れ替えることにした。毎日ジムへ通うのさ。三日ボーズにはならない。今度のところは歩いて六分だから大丈夫。今後の私を見守って欲しい。私はもう体重計の上で泣かない。恋だってしたる。もちろんトムと。
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