一八一 家のあたりに出る蛇は殺してはならぬ。それはその家の先祖の人だからという、先年土淵村林崎の柳田某という人、自分の家の川《か》戸《ど》にいた山かがしを殺したところ、祟《たた》られて子供と自分がひどく病んだ。巫女《いたこ》に聞いてもらうとおれはお前の家の祖父だ。家に何事もなければよいがと思って、案じて家の方を眺めているところをお前に殺されたといった。詫びをしてやっと許してもらった。また佐々木君の近所のある家でも、川戸で蛇を殺してから病気になった。物識りに聞くとおれはお前の家の母親だが云々といった。こういう実例はまだいくらでもある。