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遠野物語拾遺225

时间: 2019-08-26    进入日语论坛
核心提示:二二五 土淵村に治吉ゴンボという男がいた。この郷でゴンボとは酒乱の者や悪態をする者のことを言うが、この治吉も丈《たけ》高
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 二二五 土淵村に治吉ゴンボという男がいた。この郷でゴンボとは酒乱の者や悪態をする者のことを言うが、この治吉も丈《たけ》高く、顔かたちが凄い上に筋骨の逞《たくま》しい男であった。市日に遠野町の建屋という酒屋で酒を飲んでいるところへ、気仙から来たという武者修業の武士がはいって来た。下郎を一人つれて、風呂敷包みをワシコに背負い、滝縞の袴《はかま》をはいた偉丈夫である。治吉はこの侍を見るなり、俺こそはこの郷きっての武芸者だ、さあ試合をしようと言った。侍は心得たと、家来に持たせた荷物の中から木刀を取り出させる。治吉はもともとただの百姓で剣術などは少しも知らず、酒の酔いに任せて暴言を吐いただけであるから、相手のこのものものしい様子を見てひそかに驚いたが、もう仕方がない。今日で命はないものだと覚悟をして、見る通り俺は獲物を持ち合わさぬが、何でもあり合わせの物でよろしいかと念を押した。侍の方は、望みの物でさしつかえないと答えたから、治吉は酒屋の裏手へ獲物を探しに行って、小便をしながらその辺を見廻すと、そこに五寸角ほどの材木が一本転がっていた。よしこれで撲《う》ちのめしてくれようと言って、この材木を持ち、襷《たすき》掛《が》けで元の場所に引き返した。武芸者の方では、治吉が裏へ行ったきり帰りが遅いので逃げたものと思ってたかをくくり、しきりに高言を吐いていたところであったから、治吉の出《いで》立《た》ちを見て驚いた様子である。治吉はこの態《てい》を素早く見て取ったから、さあ武芸者、木刀などでは面白くない。真剣で来いと例の材木を軽々と振り廻して見せた。すると何と思ったのかその侍は、からりと木刀を棄て、いや先生、試合の儀はどうかお取り止めください。その代わりに、拙者が酒を買い申そうと、酒五升を買って治吉に差し出した。治吉はますます笠にかかって、いやならぬ、どうしても試合をすると言って威張って見せると、侍はそれを真に受けて怖がり、ひたすら詫びを言っていたが、とうとう家来といっしょにこそこそと逃げ去った。天下の武芸者を負かした上に、五升の酒をただで飲んだと言って、治吉はますます自慢してならなかったそうな。
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