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「みにくいあひるの子」だった私72

时间: 2019-09-23    进入日语论坛
核心提示:睡眠薬苦痛もなにもない、すごく簡単な凶器(きようき)がそこにあるのだから、私が一瞬でも、「もう死んでしまおう」と思ってい
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睡眠薬

苦痛もなにもない、すごく簡単な凶器(きようき)がそこにあるのだから、私が一瞬でも、「もう死んでしまおう」と思っていたら……。
懸命に意地は張っていたけれど、精神的に強いほうではないから、つらいことがあってあれこれ考え出すと、涙が止まらなくなる。そういうとき、私はすぐに寝ることにしていた。両親から、「泣くぐらいなら、寝てしまえ」とさんざん言われていたから。
そのままではとても眠ることなんかできないから、どうしても薬のお世話になる。
アメリカのドラッグ・ストアでふつうに売っている睡眠薬だけど、日本でお医者さんが出してくれるものより、ずっと効(き)き目が強い。飲みすぎると、永遠に目が覚(さ)めないこともある。
実際、騒ぎになったことも数回ある。
しょっちゅう飲んでいるうちに効き目が落ちてくるから、どうしても量が増えていく。ある夜、自分では記憶(きおく)にないけれど、睡眠薬を飲んだあと、どうやら親友の阪本(さかもと)ヒロコちゃんに電話をしたらしい。翌日、目が覚めたら、目の前に彼女の顔があった。
ヒロコとは、学校は違ったけれど、中学のときに塾で知り合って、それ以来ずっと親しい付き合いが続いている。彼女は同い年だけど、すごく面倒見(めんどうみ)がよくて、私にとっては親友兼お姉さん的存在。なにかとお世話(せわ)になっている。
私の電話の様子がおかしかったので、心配して駆(か)けつけてくれたのだという。
「いくら揺(ゆ)すっても、ほっぺたを叩(たた)いても起きないんだもの……」
彼女が駆けつけたときには、彼も帰っていて、部屋には入れてもらえた。彼は、もちろん私が眠っているだけと思っている。そこに彼女がやってきて、揺すっても叩いても、私が目を覚まさない。彼女は彼に救急車を呼ぶよう頼(たの)んだけれど、彼は「いつも飲んでる薬だから」と言って、とりあってくれなかったという。
同じような状況で、父に電話をしたこともあった。父があわてて駆けつけたけど、そのときは、彼は留守(るす)。ドアに鍵(かぎ)がかかっていたので、父は入ることはできない。いくらチャイムを押しても、ドアをドスンドスン叩いても、私はいっこうに目を覚まさない。管理人さんを呼んだりして、大騒ぎになったらしい。
だけど、当時、どんなにつらい状況でも、フラフラになっても、仕事をキャンセルすることはけっしてしなかった。いまにして思えば、そんな状態で仕事に行くなんて、みんなに失礼なのだけれど。
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