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愛人の掟 49

时间: 2019-10-18    进入日语论坛
核心提示:scene 10 デートはある朝突然にこう見えてわたしは「お勤め経験者」である。あえてこう見えて、と書いたのは、スーツ姿が
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scene 10 デートはある朝突然に

こう見えてわたしは「お勤め経験者」である。あえてこう見えて、と書いたのは、スーツ姿が想像できない容姿もさることながら、物書きのような商売は大抵、学生時代のアルバイトから続いたりするケースが多く、いわゆるお勤め経験者が極端に少ないからだ。
だからわたしはいつもまわりの同業者が「いいよなあ会社行ってれば給料もらえるんだから」などという台詞を平気で口にしているのを聞く度に、よくもそんなことが言えたものだと閉口させられる。この手の発言はフリーランスで働く者の恥である。相手の仕事を全く理解する気がないとしか思えず、第一、失礼だ。
形はどうあれ世の中に楽しいお仕事なんてない。あるのは向き、不向きということくらいで、皆それぞれ大変なのだ。わたしなどほんの二年ほどではあったが、それがわかっただけでも本当にお勤めを経験してよかった、と思っている。だからって、「いいですよねえ、毎日お昼まで寝てられて」なんて言われるとつらいんだけど。
このお勤めvs.フリーのジェラシー合戦がいちばん露骨に交わされるのが、連休前一、二週間、といったところではないでしょうか。わたしも勤めていた頃は、日曜日や祭日などカレンダーの休日が本当に待ち遠しかった。ましてや連休ともなればなおさら。ところが今のような仕事は、公共のお休みには、ふだんにもましてまとまった労働を強いられるのが常である。楽しい計画など夢のまた夢、その上銀行やバーまで休んじゃうから身動きとれず家にこもっていたりする。気がつけば、ゴールデンウィークやお盆休みが大嫌いになっている、というわけだ。
けれど今年もまた「連休わくわくウィーク」に入りあらためて考えてみると、連休は連休でこれまた双方、なかなか大変なんじゃないかと思ったのだ。お勤めをしている人にとっても、連休はただ楽しみなだけじゃなく、ひとつのストレスを引き起こしているのでは。もちろん、ウキウキ計画満載の五日間か七日間が約束されている人はいい。けど実際そんな恵まれた人はごくごく少数で残りの多くの人たちは、連休に何の予定もない自分がいかにもつまらない人間なんじゃないかという不安に囚われることになるのだ。
しかし、連休に限らず、休日に計画や予定がないというのは悩むべきことではなく、実は素晴らしきことだ、とわたしは思う。きちんとデートプランを立ててそれを指折り楽しむのもいいけど、予期せぬ遠出というのはそれだけで季節はずれの誕生日プレゼントをもらったような意外な喜びがあるもの。
だから手帳にお休みやアフター5の予定が書き込まれていないと不安になる、という体質は早く治したほうがいい。なぜなら恋愛はハプニングで出来ているようなもの、何事もきっちりシナリオどおりにはいかない。何の計画もない不意の突発デートこそ、恋愛の醍醐味かもしれない。
かく言うわたしも、自分の生活ペースを乱されるのを嫌う性格から、以前は予定外のデートは苦手だった。その素晴らしさを教えてくれたのはこんな突発デートでした。
その日は久しぶりにゆっくり食事をしようと、夕方五時過ぎに互いの仕事場に近い駅で待ち合わせた。すると彼はなぜか分厚い時刻表を見ている。どうしたの? と訊くと彼は、何か急に電車に乗って遠くに行きたくなっちゃったんだ、と笑う。そしてふたりは発車間際の新幹線に飛び乗って、近場の温泉街に着く。それから宿を探して浴衣で遅めの夕食をとる。
ついさっきまで忙しく仕事をしていたのがまるで嘘のような、突然素敵な時間と空間をプレゼントされたような感覚に、わたしは旅支度のない薄着も翌日の仕事のやりくりも、まったく苦にならなかった。計画されたデートでは決して味わえない喜びを、わたしはこのとき初めて知ったのだ。
休日に予定がないからって、好きでもない人と無理やり出かけるなんてやめよう。それじゃ不意のチャンスをみすみす逃しているようなもの。だったらひとりでビデオ観賞三昧の日々に浸るほうがいい。
そんなときおすすめの一本は、エリック・ロメール監督の『緑の光線』。東京の比ではなくバカンス重視のパリを舞台に、予定のないOLが泣いたり落ち込んだりしながら最後にはひとり旅で出会った男性と恋に落ちるというお話。まさにハプニングバカンスのお手本、参考にしてみてね。
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