今週のテーマは「アナログ・デジタル時計」である
なんやかやいうたかて、私が家元の糸井重里である。
「家元ォ! いま風呂に入ってよく洗ってきましたから」
番頭さん、唐突に洗うの洗わないのと言ったって、わかりはしないよ。
「ですから、さっきドブに落ちたんでございます、私」
しかし、いまどき、夜中にドブに落ちるなどという珍しい人がいるとは思わなかった。
ドブに、落ちる。
よい響きだ。ありそうでいてなかなかあるものではない。ドブに、落ちる……やっぱり当塾の番頭は並の人間じゃない。
ドブに、落ちる。うーむ。これは行為としてのアンティークではある。少々臭いが、なかなかたいしたものである。番頭がドブに落ちたので、今週は何かよいことがあるのではないだろうか。
今夜は徹夜で、この講義をやって、そのまま私は広島へ行くのである。妹は嫁に行くわ、私は広島に行くわじゃ、まったくあわただしくてかなわぬ。
「ではいっそ、お稽古を」