「現代の世界はさまざまなストレスを抱えて生きています。心の許せる誰かの暖かい愛情に包まれて、強い腕のなかで、力いっぱい抱きしめられて、何もかも忘れて自由を楽しみたいと思うのは、トーゼンのことだと思うのです。でも、時々、力強く抱きしめられすぎて、骨が折れそうになったりして、それがちょっと困ります。何しろ、相手はヤバン、いやガイジンですから、気持が通じないことがあったとしても、それはしかたがないことだと思います。でも、関係をした日の翌朝などは、気のせいか肌にも張りがあり、お化粧の|のり《ヽヽ》もよくなるような気がします。精神的にも幸せな気分になり、カリフォルニアが玄関までやって来たようなハッピーな錯覚にとらわれてしまいます。こんなわたしのことを、マゾだとか卑屈だとか非難する人もいないわけではないのですが、わたしは、はっきりいって、米国人が好きなのです。嘉永6年6月3日の午後5時にマッカーサーさんの艦隊が浦賀沖に停泊してから、何だかそういうことになってしまったような気がします。よくわかりませんが、いったいどこに、問題があったのでしょうか」
関係をすることは愛情の証しと娯楽の両方のためだという日本人の意見