□教室
———たまにはリッチなところを見せ付けてやる。
———たまにはリッチなところを見せ付けてやる。
「決めた。今日は食堂で豪遊してやる」
【有彦】
「え、まじ? 信じられねえ、まさかきつねうどんにタマゴつけんのか!?」
……きつねうどん二百五十円。タマゴ五十円。
「有彦。そ、ゆうのは豪遊とはイワナイ」
「な!?って事は大盛りにするっていうのかよ!? やめとけって、見栄張ってもあんましいいコトないんだぞ!」
……大盛りは、プラス百円。
「カツ丼。おしんこにお吸い物付き、食べる」
カツ丼セット、金六百五十円也。
……きつねうどん二百五十円。タマゴ五十円。
「有彦。そ、ゆうのは豪遊とはイワナイ」
「な!?って事は大盛りにするっていうのかよ!? やめとけって、見栄張ってもあんましいいコトないんだぞ!」
……大盛りは、プラス百円。
「カツ丼。おしんこにお吸い物付き、食べる」
カツ丼セット、金六百五十円也。
【有彦】
「しょ、正気ですか遠野くん!? そんなお金があるならきつねうどんにしてオレに奢ったりしてくれないのか!?」
「……………うるさい。おまえ、付いてくるな」
「……………うるさい。おまえ、付いてくるな」
ふい、と顔を背け、ロボットのような行進をして教室を後にした。
□食堂
———次のニュースです。
落雷事故が続く○県サカエ市ですが、昨夜未明七度目の落雷事故が発生した模様です。
幸い今回も被害は少なく、付近一帯が一時間ほどの停電にみまわれた後、すみやかに復旧作業が開始され————
落雷事故が続く○県サカエ市ですが、昨夜未明七度目の落雷事故が発生した模様です。
幸い今回も被害は少なく、付近一帯が一時間ほどの停電にみまわれた後、すみやかに復旧作業が開始され————
テレビモニターが今朝のニュースを流している。
うちの学校の食堂では情操教育の一環として、校長が録画した朝のニュースを流している。
うちの学校の食堂では情操教育の一環として、校長が録画した朝のニュースを流している。
ずる、ずる。
それを一人、カレーうどんタマゴ付きを食べながら聞いている生徒が一人。
「………この、根性無し」
言うまでもなく、そんな淋しい昼食をとっているのは遠野志貴なのであった。
「………この、根性無し」
言うまでもなく、そんな淋しい昼食をとっているのは遠野志貴なのであった。
「くそ、なんだこのすっげえ敗北感は」
吸血鬼を相手にした時でもここまで自分が情けなく思ったコトはない。
吸血鬼を相手にした時でもここまで自分が情けなく思ったコトはない。
ずるずるずる。
「……カ、までは出かかったんだけどなあ……ここ一番で冷静になる性格ってのも考えものだぜ、ふふふ」
ふん、いいんだいいんだ。
一時の感情になんか流されないで、こうして少しずつお金をためておけばイザという時に役立つってもんなんだから。
ふん、いいんだいいんだ。
一時の感情になんか流されないで、こうして少しずつお金をためておけばイザという時に役立つってもんなんだから。
ずるずるずる。
ああ、それにしてもここのカレーうどんは辛い。先輩は丁度いいっていうけど、あの人カレーばっか食べてっから舌が麻痺しちゃってんだろうな、きっと。
———次のニュースです。
×日前から続いている通り魔殺人ですが、またも新しい被害者が発見されました。
御咲町の工場地帯に人間のものと思われる大量の血痕が————�
「—————」
厭なニュースが続く。
とっくに吸血鬼はいなくなったっていうのにこの街ではまだ通り魔殺人が続いていた。
厭なニュースが続く。
とっくに吸血鬼はいなくなったっていうのにこの街ではまだ通り魔殺人が続いていた。
ずるずるずるずる、と。
カレーうどんを食べ終えたので席を立つ。
厭なニュースのせいで胸がむかついて汁は飲みきれなかった。
先輩に見られたらワンぱんちものかな、と思いながら食堂を後にした。
カレーうどんを食べ終えたので席を立つ。
厭なニュースのせいで胸がむかついて汁は飲みきれなかった。
先輩に見られたらワンぱんちものかな、と思いながら食堂を後にした。