□廊下
賑やかな廊下を歩く。
昼休みもじき終わり。
廊下に点在する生徒たちはクラスが違うのか、五時限目が始まるギリギリまで会話に花を咲かせているのだろう。
笑い声はずっと続いていて、廊下を歩いているだけでこっちまで気が緩んでしまいそうだ。
明るい陽射しと穏やかな風景。
ちょっと捜せば顔見知りの友人はすぐ近くにいて、簡単に笑いあえるこの空間。
昼休みもじき終わり。
廊下に点在する生徒たちはクラスが違うのか、五時限目が始まるギリギリまで会話に花を咲かせているのだろう。
笑い声はずっと続いていて、廊下を歩いているだけでこっちまで気が緩んでしまいそうだ。
明るい陽射しと穏やかな風景。
ちょっと捜せば顔見知りの友人はすぐ近くにいて、簡単に笑いあえるこの空間。
日常はおおよそ変化なく回っている。
楽しい事が半分、哀しい事はほんのちょっと、あとの残りは定番といえる退屈。
ぐるんぐるんと回るサイクルは完璧なのか、止まるという事を知らない。
楽しい事が半分、哀しい事はほんのちょっと、あとの残りは定番といえる退屈。
ぐるんぐるんと回るサイクルは完璧なのか、止まるという事を知らない。
けど、少しだけおかしいと思う事だってある。
それは。
毎夜見ては忘れてしまう。
忘れられないほど凄惨な夢だった。
□廊下
「————はっ。何をつまらないコトを気にしてるんだろう、俺は」
思い出せないぐらい瑣末な夢を不安に思って、こんなにも楽しい毎日を台無しにしようだなんてどうかしてる。
昨日もそうだったけど、今日も間違いなく楽しい一日なんだ。それを無理やり哀しい一日にする必要なんてない。
思い出せないぐらい瑣末な夢を不安に思って、こんなにも楽しい毎日を台無しにしようだなんてどうかしてる。
昨日もそうだったけど、今日も間違いなく楽しい一日なんだ。それを無理やり哀しい一日にする必要なんてない。
———まあ。その
昨日のコトさえ、よく思
い出せないのではあるが。
昨日のコトさえ、よく思
い出せないのではあるが。
□廊下
「——————っ」
眩暈がして壁によりかかる。
こつん、と顔が窓にあたって、外の景色が見渡せた。
学校の外はいつも通り。
硝子に映った自分もいつも通り。
何の変化もなく、結局は景色を眺めるだけで、その中に融けこめないでいる———
眩暈がして壁によりかかる。
こつん、と顔が窓にあたって、外の景色が見渡せた。
学校の外はいつも通り。
硝子に映った自分もいつも通り。
何の変化もなく、結局は景色を眺めるだけで、その中に融けこめないでいる———
がらん、がらん。
耳鳴りだろうか。
遠くで鐘が鳴っている。
耳鳴りだろうか。
遠くで鐘が鳴っている。
————ああ、知っている。これは葬送の鐘の音だ。
がらん、がらん。
崩れるような鐘の音。
その鐘が響き渡るたびに、がらん、と世界の何処かが崩れていく。
崩れるような鐘の音。
その鐘が響き渡るたびに、がらん、と世界の何処かが崩れていく。
がらん、がらん。
ここではない、ここからでは見えない些細な所から崩れていく。
物事に終わりがあるように、世界にだって終りはある。
永遠に続く一日などありえない。
気が付いた時には全て一瞬で崩れ去る。
そうして後戻りのできない列車にのって、ついに最果ての終着駅に着いてしまって嘆くのだ。
なんという滑稽さかな。
本当の終着駅というのは一つ前の駅なので、そうなってしまってはもう手の施しようがないんだってば。
だからこうしているかぎり、列車は着々と終着駅へと暴走している。
一日ごとに次の駅へ。
永遠に続く一日などありえない。
気が付いた時には全て一瞬で崩れ去る。
そうして後戻りのできない列車にのって、ついに最果ての終着駅に着いてしまって嘆くのだ。
なんという滑稽さかな。
本当の終着駅というのは一つ前の駅なので、そうなってしまってはもう手の施しようがないんだってば。
だからこうしているかぎり、列車は着々と終着駅へと暴走している。
一日ごとに次の駅へ。
さてさてご照覧あれ皆様方。
はたして自分は、終着駅の一つ前までに下りるコトができるのでしょうか……?
はたして自分は、終着駅の一つ前までに下りるコトができるのでしょうか……?