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歌月十夜34

时间: 2019-11-27    进入日语论坛
核心提示:*s38□廊下 賑やかな廊下を歩く。昼休みもじき終わり。廊下に点在する生徒たちはクラスが違うのか、五時限目が始まるギリギリま
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*s38

□廊下
 賑やかな廊下を歩く。
昼休みもじき終わり。
廊下に点在する生徒たちはクラスが違うのか、五時限目が始まるギリギリまで会話に花を咲かせているのだろう。
笑い声はずっと続いていて、廊下を歩いているだけでこっちまで気が緩んでしまいそうだ。
明るい陽射しと穏やかな風景。
ちょっと捜せば顔見知りの友人はすぐ近くにいて、簡単に笑いあえるこの空間。
 日常はおおよそ変化なく回っている。
楽しい事が半分、哀しい事はほんのちょっと、あとの残りは定番といえる退屈。
ぐるんぐるんと回るサイクルは完璧なのか、止まるという事を知らない。
けど、少しだけおかしいと思う事だってある。
「————なんか、最近」
 こう、日常のバランスがおかしいというか。
哀しい事はわりと大人しめで、楽しい事ばかりが目に付いている。
まるで人生最良の日というカタチがあって、そればかりを選んでいるような感じ。
「自虐的だな、いいコトばっかりだから揺り返しを恐れてる。素直に一日を楽しめばいいのに」
そう。
良い事ばかりが起きて次に来る不幸が恐ろしいというのなら、良い事が起きている今日を楽しむべきだろう。
 
 それが誰かの見る幸福な、完璧に近い憧憬の夢だとしても。
 
□廊下
————ふと。
「……ゆ、め……?」
———何か、重大な事を思い出しかけた気がする。

昨日のコトは思い出せない。
はじめはそう思っていたが、それは間違いなのだと気が付いたのは昨日だったか。
 だが昨日の事は思い出せない。
 だが思い出せない記憶などない。
 その矛盾に気が付くのはいつも終わる時だ。
自分はとっくに気が付いている筈なのだ。
頭を悩まして、眠りから目を覚まして、そうして忘れてしまっている出来事なんて、本当は————
□廊下

「———————」
軽い眩暈がした。
何時間もテレビを見ていて目が疲れた時におこる、軽い眩暈だ。
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