□遠野家居間
「そうだな、外はいい天気なんだし……」
こんな日は陽射しを浴びないともったいない。普段不健康なんだから、今日ぐらいは体をいたわる事にしよう。
こんな日は陽射しを浴びないともったいない。普段不健康なんだから、今日ぐらいは体をいたわる事にしよう。
□中庭のベンチ
「—————っ」
陽射しが直接眼に映る。
天気は完璧。まともに見上げると眩暈をおこしそうなぐらい、晴れやかな青い空が続いている。
「—————っ」
陽射しが直接眼に映る。
天気は完璧。まともに見上げると眩暈をおこしそうなぐらい、晴れやかな青い空が続いている。
「んー、こういう時に椅子があるっていうのは嬉しいねえ」
中庭に備え付けられた椅子に腰を下ろす。
きちんと陽射しを考慮されて配置されているのか、椅子に座るとちょうど胸から下に陽射しが当たる。
———おお、ますます完璧。
気を抜けばこのまま眠っちゃってもおかしくない居心地の良さだ。
気を抜けばこのまま眠っちゃってもおかしくない居心地の良さだ。
「……って、あれ。おまえも日向ぼっこか?」
つい、と椅子の横、テーブルの下に視線を落とす。
そこには
【レン】
優雅に体を休めていた黒猫らしき姿があった。
「あ、いいよいいよ。別に何もしないからそこにいろって。ここでこうしてるの、気持ちいいだろ?」
人の話を聞いているのかいないのか、黒猫は堂々と日向ぼっこを再開した。
「————————」
その姿が妙に愛らしくて、つい忍び笑いをこぼす。
黒猫はぴくん、と耳を動かしたけれどそれでもここに残ってくれるようだ。
「まったく。何してるんだろうね、俺たち」
ひどく優しい気持ちになって、そんな呟きを洩らす。
「——————ああ、でも」
こういうのは、とてもいい。
お互いを意識していない訳でもないけど、とりあえず不干渉。
けど隣に誰かがいるという安心感と好奇心が妙にくすぐったくて、退屈な筈の時間が退屈じゃなくなっている。
のんびりと時間を過ごせて、それでいて退屈に感じない時間帯。
きっと心を許せる人が側にいる時というのもこういう感覚なんだろう。
その連帯感がこんなにも簡単に得られてしまうのは、動物には人間のような込み入った考えがないためだと思う。
……ああ、あともう一つ。
なんとなくだけど、この子にはすごく信頼されているような気もしていたり。
「おかしいな。おまえ、俺に触れさせてもくれないっていうのに」
黒猫に反応なし。
「————ま、いいけど」
そんなこんなで、黒猫と一緒になってのんびりと日向ぼっこを続けてみた———