□遠野家1階ロビー
夕食の後。
風呂からあがって居間に顔を出すと、まだ秋葉たちが残っていた。
「—————あれ、まだいる」
ガチャリ、と扉を開けて居間に入る。
風呂からあがって居間に顔を出すと、まだ秋葉たちが残っていた。
「—————あれ、まだいる」
ガチャリ、と扉を開けて居間に入る。
□遠野家居間
【秋葉】
「え———————え……!?」
「え———————え……!?」
【翡翠】
「し、志貴さま——————!」
【琥珀】
「—————————————」
……? 女三人で内緒話でもしていたのか、秋葉たちはピタリと動きを止めてしまった。
……? 女三人で内緒話でもしていたのか、秋葉たちはピタリと動きを止めてしまった。
「なんだ、まだお茶会が終わってなかったのか。仲がいいのはいいけど、あと少しで十時だぞ。そろそろ部屋に戻らないと就寝時間に間に合わないんじゃないか?」
髪をタオルで拭きながら忠告する。
十時を過ぎたら部屋から外に出てはいけない、という規則を守るならいい加減部屋に戻らないといけない頃だ。
【秋葉】
「な——————な、なな、な」
わなわなと肩を震わす秋葉。
「なななな? どうした秋葉、激辛カレーパンでも食べて舌が麻痺したのか?」
ちらり、と翡翠たちに視線で問い詰めてみる。
「な——————な、なな、な」
わなわなと肩を震わす秋葉。
「なななな? どうした秋葉、激辛カレーパンでも食べて舌が麻痺したのか?」
ちらり、と翡翠たちに視線で問い詰めてみる。
————と。
【翡翠】
「……………………」
【琥珀】
「————————」
二人は申し合わせたように、なんだか遠い目をしていた。
「————————」
二人は申し合わせたように、なんだか遠い目をしていた。
「むむ、なんか俺に聞かれちゃまずい話でもしてたみたいだな。……そういえば朝から何か隠しているような素振りだったけど、まさか三人で一緒になってよからぬ事を企んでるんじゃないだろうな」
じとり、と主犯であろう秋葉に視線を戻す。
【秋葉】
「い、いえ、今はそんな事よりですね、兄、さん」
途切れ途切れに言う秋葉。
……っていうか、三人で何か企んでいたのか、というこちらの質問を否定しない所が恐ろしい。
「い、いえ、今はそんな事よりですね、兄、さん」
途切れ途切れに言う秋葉。
……っていうか、三人で何か企んでいたのか、というこちらの質問を否定しない所が恐ろしい。
「あのな。そんな事よりって、本当に悪巧みしてたのかおまえっ!」
【秋葉】
「違いますっ……! あのですね、その、兄さんは上着を忘れているのにお気付きなんですかっ……!?」
それは三人の気持ちを代表するような、熱のこもった一言だった。
それは三人の気持ちを代表するような、熱のこもった一言だった。
「——————え?」
はた、と気が付く。
……そういえばシャツは部屋で着替えようと思って、とりあえずズボンだけ穿いて脱衣場を出たんだっけ。
「——————————」
ちょっと、照れる。
前に寝巻きで歩いていた時はだらしがないとストレートに怒られたが、こう、気恥ずかしそうに言われるとこっちまで恥ずかしくなってくる。
ちょっと、照れる。
前に寝巻きで歩いていた時はだらしがないとストレートに怒られたが、こう、気恥ずかしそうに言われるとこっちまで恥ずかしくなってくる。
「なんだよ、そういうコトはもっと早く言ってくれないとダメだろ、秋葉」
【秋葉】
「あ———はい、お報せするのが遅れてしまい、申し訳ありませんでした兄さん」
まだ面食らったままなのか、秋葉はおずおずと返事をする。
「分かれば良し。それじゃ三人とも早く部屋に戻ること」
まだ面食らったままなのか、秋葉はおずおずと返事をする。
「分かれば良し。それじゃ三人とも早く部屋に戻ること」
できるだけ平静に言って、パタンと扉を閉めた。
そのまま、ペタペタと足音をたててロビーへと移動する。
□遠野家1階ロビー
「——————うわ、失敗失敗」
ロビーまで出て、慌てて階段にかけておいたシャツを回収する。
……いや、ホントに助かった。
なんで秋葉がボケッとしていたかは分からないけど、いつもだったらお説教一時間コースの失態だ。
ロビーまで出て、慌てて階段にかけておいたシャツを回収する。
……いや、ホントに助かった。
なんで秋葉がボケッとしていたかは分からないけど、いつもだったらお説教一時間コースの失態だ。
「————ちょっと待って。なんで私が謝ってたのよ、今!?」
居間から秋葉の声が聞こえてくる。
「あ、やば」
髪から水をしたたらせながら階段へと駆け出す。
居間から秋葉の声が聞こえてくる。
「あ、やば」
髪から水をしたたらせながら階段へと駆け出す。
そこへ現れる秋葉の姿。
「兄さん、お話があります! 戻ってきてください!」
ドタドタ、という足音とともに秋葉の叱声がロビーに響く。
だがこっちはもう階段を上りきっている。あとは部屋までダッシュしてしまえば秋葉とて追いかけてくる事はできまいて。
「断る。もう夜だし、明日まで覚えてたら聞くコトにするよ」
二階から捨て台詞をはいて走る。
二階から捨て台詞をはいて走る。
「っ……! ぜったい覚えてますからね、覚悟しておいてください!」
ロビーから響いてくる秋葉の声にため息をつきながら、ともかく自室へ戻る事にした。
ロビーから響いてくる秋葉の声にため息をつきながら、ともかく自室へ戻る事にした。