□繁華街
————その視線に気が付いたのは人通りの激しい一角でだった。
————その視線に気が付いたのは人通りの激しい一角でだった。
休日の朝だというのに人波は激しく、みな脇目もふらずに各々の目的地へと急いでいる。
溢れかえる人、人、人。
過ぎていく人波。
こんな光景はとっくに見なれていて、とりわけ足を止めるほどのものでもない。
なのに、そこに
溢れかえる人、人、人。
過ぎていく人波。
こんな光景はとっくに見なれていて、とりわけ足を止めるほどのものでもない。
なのに、そこに
街の騒音をかき消してしまうほど鮮烈な視線があった。
「———こっちを、見てる?」
人込みの中、誰もが通りすぎて行く雑踏の中で、見知らぬ少女がこちらを見つめている。
人込みの中、誰もが通りすぎて行く雑踏の中で、見知らぬ少女がこちらを見つめている。
見知らぬ少女だって……?
馬鹿を言うな、遠野志貴はあの子のコトを知っている筈だ。
ただそれを忘れているから、見知らぬ少女と錯覚している。
……見知らぬ少女は見つめている。
それがこんなにも目を奪うのは何故だろう。
この人波の中で立ち止まっているからか。
それとも黒一色なんていう服装が目立つからか。
それがこんなにも目を奪うのは何故だろう。
この人波の中で立ち止まっているからか。
それとも黒一色なんていう服装が目立つからか。
————分からない。
ただあの子に見られているだけで、ひどく——�
ただあの子に見られているだけで、ひどく——�
心臓が、違和感を叩きつけてくる。
「—————君」
呼びかける。だがここからでは遠すぎる。
近寄って声をかけなくてはいけないのに足が動かない。
□繁華街
「——————」
少女の姿はない。
人込みに融けてしまったのか、もうあの視線も感じられない。
————また、逃した。
何の脈絡もなく、悔しくて胸を掻きむしる自分がいる———
「——————」
少女の姿はない。
人込みに融けてしまったのか、もうあの視線も感じられない。
————また、逃した。
何の脈絡もなく、悔しくて胸を掻きむしる自分がいる———