□アルクェイドの部屋
訊きたい事。誰かに教えてもらいたい事なんて決まっている。
「———アルクェイド。一つ、つまんない事を訊くんだけどさ」
【アルクェイド】
「うん、なに?」
「その、昨日俺が何をしていたか教えてくれないかな」
「その、昨日俺が何をしていたか教えてくれないかな」
【アルクェイド】
「——————えぇ!?」
楽しそうな笑顔が急変する。
……なんか、この質問をするたび、された相手はこんなふうに驚いている気がする。
楽しそうな笑顔が急変する。
……なんか、この質問をするたび、された相手はこんなふうに驚いている気がする。
「ちょっと志貴、昨日のコト覚えてないの!?」
「恥ずかしながら覚えてない。そういうワケで、昨日の俺を知ってそうなアルクェイドにご教授願いたいワケですよ」
「恥ずかしながら覚えてない。そういうワケで、昨日の俺を知ってそうなアルクェイドにご教授願いたいワケですよ」
【アルクェイド】
「……ふうん。どうも本気で言ってるみたいね、志貴」
「な、なんだよその態度。いかにも文句あるぞって顔じゃないか」
「な、なんだよその態度。いかにも文句あるぞって顔じゃないか」
【アルクェイド】
「当然よ。志貴は昨日わたしと一緒に夜の街を歩いて、やってきたシエルを押し退けて、別れ際にした約束も覚えてないって言ってるんでしょう?」
「———————う」
「当然よ。志貴は昨日わたしと一緒に夜の街を歩いて、やってきたシエルを押し退けて、別れ際にした約束も覚えてないって言ってるんでしょう?」
「———————う」
アルクェイドは本気で怒っている。
……だっていうのに、俺にはその約束どころか昨日アルクェイドといた事さえあやふやだった。
……だっていうのに、俺にはその約束どころか昨日アルクェイドといた事さえあやふやだった。
「いや、アルクェイドを軽視している訳じゃないんだ。昨日のコトばかりかその前の日のことも記憶になくて、困ってるのはこっちのほうなんだぞ」
【アルクェイド】
「二日前の事も覚えてない、ですって……?」
「あ—————」
……やぶへびだ。なんか、火に油を注いだ感じ。
「あ—————」
……やぶへびだ。なんか、火に油を注いだ感じ。
【アルクェイド】
と。さっきまでの鋭さは何処にいったのか、アルクェイドは急に笑顔になったりする。
「……良かった。アルクェイド、こっちの事情が解ってくれたんだな」
【アルクェイド】
「……はあ。ちょっと意外かな、わたしも随分と我慢強くなったのね」
あ、人の話聞いちゃいねえ。
あ、人の話聞いちゃいねえ。
【アルクェイド】
「けどこればっかりは譲れないわ。志貴、少し外で頭を冷やしてきて」
うわ、いたっ。
まさか出て行け、なんていうセリフをアルクェイドに言われるとは思わなかった。
「けどこればっかりは譲れないわ。志貴、少し外で頭を冷やしてきて」
うわ、いたっ。
まさか出て行け、なんていうセリフをアルクェイドに言われるとは思わなかった。
□マンションキッチン
ほらほら、と眼光の迫力だけで台所まで押されてしまう。
……っていうか、あいつ空想具現化でこっちの体を鷲掴みにしてやがる。
……っていうか、あいつ空想具現化でこっちの体を鷲掴みにしてやがる。
【アルクェイド】
「それじゃまたね。いい? 昨日の事を思い出すまではわたしの前に現れないこと。この約束まで守れなかったら本当に怒るからね、志貴」
□マンション廊下
バタン! と扉が閉められる。
「……あいつめ。俺一人で思い出せてたら訊いてないっていうのに」
はあ、とため息をついて歩き出す。
こうしてアルクェイドの部屋の前にいたらそれこそ何されるか判らないし、一旦屋敷に戻る事にしよう———
「……あいつめ。俺一人で思い出せてたら訊いてないっていうのに」
はあ、とため息をついて歩き出す。
こうしてアルクェイドの部屋の前にいたらそれこそ何されるか判らないし、一旦屋敷に戻る事にしよう———