□教室
……やっぱり喫茶店、かな。
定番だし、せっかくいろんなツテを回ってケーキの材料をかき集めてきたんだし。
男子はケーキ専門店なんて嫌だー、と声をあげて叫んでいたけど、それ以外の出し物は色々と不安が残るのだ。
定番だし、せっかくいろんなツテを回ってケーキの材料をかき集めてきたんだし。
男子はケーキ専門店なんて嫌だー、と声をあげて叫んでいたけど、それ以外の出し物は色々と不安が残るのだ。
「決めた。俺は喫茶店に投票するよ」
やったぁーーーーー! と歓声をあげる女子たち、
うしゃー!むしゃー! とブーイングをあげる男子たち。
うしゃー!むしゃー! とブーイングをあげる男子たち。
「そうだよねー! さっすが遠野くん、女の子の味方—!」
「………………」
いや、そう言われると不純な動機で投票したようで後ろめたい。
「いや、俺は純粋に喫茶店に投票しただけだって」
一応抗議をいれておく。と、そこへ現れる乾有彦。
【有彦】
「………………」
いや、そう言われると不純な動機で投票したようで後ろめたい。
「いや、俺は純粋に喫茶店に投票しただけだって」
一応抗議をいれておく。と、そこへ現れる乾有彦。
【有彦】
「そうだよなねー! さっすが遠野くん、男の子の怨敵ぃー!」
「…………。————フッ!」
「…………。————フッ!」
【有彦】
どげし。
「おお、すっげえ! いま下からこう、腹を打ち上げるようなショートアッパーが炸裂しなかった!?」
「見た見た! こう、すれ違うフリをして超接近でのボディブロー!」
「うんうん! 乾くん、5センチぐらい浮いてたよー!」
「ええ、間違いなく今のはプロの殺り方だったわ」
「そうですねえ。あ、保健委員は乾を保健室に連れていくように」
パチパチパチ、とクラス中から拍手がおこる。
「いやいや、単なるクリティカルヒットなので」
あんまりにも盛りあがっているものだから両手をあげて応えつつ謙遜をする。
ところでみんなと一緒になって拍手を送っているうちの担任教師は何者なんだろう。
あんまりにも盛りあがっているものだから両手をあげて応えつつ謙遜をする。
ところでみんなと一緒になって拍手を送っているうちの担任教師は何者なんだろう。
「おーし、これでうちの出し物は決定したな。遠野も戦力になりそうだし、これなら今回の喫茶店は成功するぞー!」
号令一下、イエーイ!と勝ち鬨をあげる二年三組御一行さま。
女子はエプロン姿に、男子はウェイターらしき格好をしつつも脛当てをつけたり拳にバンテージを巻きはじめたり、とあからさまな武装を始める。
号令一下、イエーイ!と勝ち鬨をあげる二年三組御一行さま。
女子はエプロン姿に、男子はウェイターらしき格好をしつつも脛当てをつけたり拳にバンテージを巻きはじめたり、とあからさまな武装を始める。
「あ。やっぱりやんの、アレ?」
「おうよ、うちは食い逃げ喫茶だからな。俺たちを突破できる自信のあるヤツはいつでも食い逃げ大歓迎サ! 無銭飲食も過剰防衛も生徒会公認だぜ!」
「おうよ、うちは食い逃げ喫茶だからな。俺たちを突破できる自信のあるヤツはいつでも食い逃げ大歓迎サ! 無銭飲食も過剰防衛も生徒会公認だぜ!」
いや、無銭飲食はともかく過剰防衛は公認されてはいないと思う。
「……そっか。色々つっこみ所がありすぎて今更どうでもいいんだけどさ、コレのいいだしっぺって一体誰なんだろうな」
「さあ? 喫茶店名を募集した時、ローキックってアイデアが出て決まったんじゃなかったっけ?」
「……そっか。色々つっこみ所がありすぎて今更どうでもいいんだけどさ、コレのいいだしっぺって一体誰なんだろうな」
「さあ? 喫茶店名を募集した時、ローキックってアイデアが出て決まったんじゃなかったっけ?」
「だからさ。いったいどこのどいつがローキックなんて名前を喫茶店につけたんだろうなって。そいつ、ハイセンスすぎて軽く百年ぐらいズレてるだろ」
「んー? えーっと、とりあえずアレが最有力候補?」
つい、と床を指差すクラスメイト。
そこにはずるずると引きずられていくケガ人の姿があった。
「んー? えーっと、とりあえずアレが最有力候補?」
つい、と床を指差すクラスメイト。
そこにはずるずると引きずられていくケガ人の姿があった。