返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

歌月十夜204

时间: 2019-11-29    进入日语论坛
核心提示:*s254□屋敷の物置あ」思わず声があがる。古ぼけた写真に映っているのは、間違いなく幼い自分とあの子の姿だった。それは木漏れ
(单词翻译:双击或拖选)
*s254

□屋敷の物置
————————あ」
思わず声があがる。
古ぼけた写真に映っているのは、間違いなく幼い自分とあの子の姿だった。
……それは木漏れ日に包まれた中庭。
今のような関係ではなく、ただ仲の良い友人としてを毎日を過ごしていた少年と少女。
それでも、自分には彼女に対する特別な気持ちがあった筈だ。
幼い遠野志貴に手を差し伸べてくれて、
いつも笑顔で、強引に外へと連れ出してくれた赤い髪をした少女の姿。
「———————————」
……何もかも懐かしい。
たった一枚の古ぼけた写真。
けれどこれは、あの頃の思い出をカタチにした唯一つの写真だった。
「—————————あ」
けどこれが琥珀さんが探していた物なんだろうか? どっちかっていうと、これは俺が欲しかったりする物だと思うし……
「————琥珀さん、これ」
貰っていいかな、と言いかけて言葉を呑みこんだ。
□屋敷の物置

【琥珀】
琥珀さんは、確かに、瞳に涙を湛えていた。
「———————!」

琥珀さんは咄嗟に顔を逸らして、何事もなかったかのように笑みを浮かべる。
「————琥珀さん、あの」
【琥珀】
「あ、申し訳ありません。少しボウとしてしまいした」
「—————————」
そんな、琥珀さんらしくない誤魔化し方をされて、鈍感な自分でもようやく悟った。
この色あせた写真が、琥珀さんがずっと探していたものなんだって。
「……琥珀さん。この写真、預かっていてくれないかな。俺じゃなくしちまいそうだし、アルバム持ってないから」
【琥珀】
「え……いえ、それは、出来ません。これは志貴さんと翡翠ちゃんの写真なんですから、お二人のどちらかが持っているべきものです。わたしが、その、受け取るわけには参りません」
「だから、俺がアルバムを買うまで預かってくれないかってコト。あ、それと恥ずかしいから秋葉と翡翠にも内緒にしてくれ。……うん。できればずっと、二人だけの秘密にしておこう」
【琥珀】
「————————」
琥珀さんは何も言わない。
……こんな方便を重ねたって、琥珀さんは受け取らないかもしれない。
琥珀さんにとって、これは翡翠の大切な思い出だ。だから受け取るべきは翡翠なんだって分かっている。
けれど、それと同じぐらいに、これは彼女の見ていた夢だった。
子供の頃。
叶わないと悟りながら、ずっと翡翠を見つめていた彼女の、ずっとなりたかった姿なんだから。
「琥珀さん。これ、預かってくれないか」
もう一度言って、古ぼけた写真を差し出した。
「—————————」
琥珀さんはまた、少しだけ泣きそうな顔をしたあと、
【琥珀】
「—————はい。それでは大切にお預かりしておきますね」
おずおずと両手で写真を受け取る。
そうして、抱きしめるように彼女は写真を胸に添えた。
「それじゃ俺はここで。夕食になったら居間に行くから」
「……はい。ありがとうございます、志貴さん」

琥珀さんの声に手を振って部屋を後にした。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%