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ぼくのコドモ時間02

时间: 2019-12-01    进入日语论坛
核心提示:拾った湖ボクは、いろいろとモノを拾ってくるコドモだったようですね。拾ってはポケットに入れる。で、また拾ってはポケットに入
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拾った湖

ボクは、いろいろとモノを拾ってくるコドモだったようですね。拾ってはポケットに入れる。で、また拾ってはポケットに入れるんで、ポケットがいつもふくらんでいた。
どんなものを拾っていたのか?
いま思い出そうとすると、これがなかなかムズカシイの。思い出せないんですね。しかしそのたびに母親が文句言ってたのは思い出せるんですよ。
「ったく、なんでこんなワケのわかんないモンばかり拾ってくるんだろうね、このコは」
あらららら、アブナイじゃないかこんなもの、こういうモノをポッケに入れてくるから、穴があいちゃうんでしょ? あーあーあー、こんなにヨゴレちゃってェ……と思い出の中で母・タカコがボヤイてるところから推測すると、つまり、ガラス瓶のかけらとか、機械部品のボルトやナット、変な形の石だの、ローセキ、ゴム管、ドングリ、たびのコハゼ、みたいなもんだったと思うんですね。
で、そのようにせっせと拾ってきた宝物をボクがどうしてたのか? っていうのもよく覚えてないんです。おそらく先刻の、母・タカコの様子だと、そのまま捨ててしまってたんじゃないでしょうかね。
どうも根気がなくて、あきっぽいから、拾った時の感動が、あんまり長もちしないんですね。いつのまにか捨てられてて、くやしかった、なんていう記憶もないんです。
道を歩いていると、前方で何か光ってたりするものがある。と、そこに行って、その光るものを拾って、じっとそれを眺めてる。ポケットに入れて、なぜかバーッと走ったりする。と、まァこんなことだったろうと思います。
そのころ、ちゃんと役に立つものを拾ってくる、気はしの利くコドモたち、というのも存在しました。�アカ�といって、銅線のクズだのを拾う。鉄クズを拾う。これはそのまま、けっこうなお金に換金ができます。
ボクはボルトやナットは拾っても、どうもそういう社会性《ヽヽヽ》がなかったですね。そういう大人っぽいようなことをした記憶っていうのもないんです。
拾ったもんのことで唯一ボクがくっきりと覚えているものがあって、だからこれはかなり�ちょっとしたモノ�だったようです。小学校の二年生くらいだったですかね。道バタに銀色に光ってるものを見たんですよ。

なんだかボクは光ってるものに弱かったらしい。それは飛行機のような銀色で、ものすごくカッチリと精密な、�何かの機械の一部�みたいだったんですね。
〈うおッ! スゲエ!〉
とボクは思ったと思う。初めて見るもんだった。実は折りたたみ式の、いま思えばルーペ、なんだけど、そのころ、ボクの頭ん中にはルーペなんてコトバはないからね、なんだかレンズのはまった、精密機械の一部。
そのスゴイやつが、虫めがねのように使えることに気がついて、うれしくなって、そこらじゅうのものを拡大して見てたんだと思うんですね。
で、そうこうしている最中に、こんどは、真新しいボール紙の箱を見つけたんです。中に厚いガラスの円盤が、薄紙に包まれて四枚入っている。そのあたりに光学機械の工場があったんで、きっとそれは、磨く前のレンズだったんでしょう。
ボクはさっきのルーペを折りたたんでポッケに入れると、そのボール紙の箱を持って、飛ぶようにして家に持って帰っちゃった。ボクはそのころ、道で五円玉を拾っても、交番まで届ける�正直なコドモ�でしたから(といっても、そのころのコドモはみんなそうだった)、これは、ちょっとイケナイことなんですね。
〈このガラスの円盤を落としてしまった人は、きっと困ってそこいらを捜しているにちがいない〉んです。
ボクは縁側に、さっき拾ったガラスの円盤と、飛行機色のナゾの機械部品を置いて、しばらく考えていたんでした。それはとってもチャーミングなもんだったんですが、落とした人のことを考えると、ドッキンドッキンしてしまうもんでもあったわけです。なにしろ、両方ともピカピカの新品ですからね。
結局ボクは、拾った場所に舞い戻ってました。そうして、落ちてたところに元通りにそれを置いて、さりげなく様子を見ることにしたんですね。落とした人が見つけちゃったらしかたない、でも、誰かそうじゃない人に拾われちゃったら、ザンネンだなァ、とか思いながら、その精密機械工場の裏手の路地で、ボクはしばらくポケットに手をつっこんだままボンヤリ立っていたんです。
その日は何事も起こらずに帰ったんですが、次の朝モンダイの宝物がそのまま置かれてるのを見つけたボクは、こんどは自信を持って自分のものにしてしまったんでした。厚いガラスの円盤は直径が八センチくらいだったでしょうか、四枚重ねると、水色になる。ボクはそれを透かして見たり、並べてみたり、長いこといじくってました。銀色のルーペでは、アリンコをつかまえてのぞいてみたり、縁側の木目を観察したり、朝顔の葉っぱのうぶ毛を眺めたりしていた。
でも、そんなふうにして一時間もしたころでしょうか、近所のガキ大将のツネヒトちゃん(この人はボクより四つ年上です)が近づいてきて、
「なにそれ? すんげえじゃん、拾ったの?」と尋ねたんですね。ボクはギクッと息づまってイロンなこと考えちゃってるのね。でも、ツネヒトちゃんは別に疑惑や批判で興味を持ったわけじゃない。ちょっとほしくなっただけなんです。こんなふうに切り出した。
「メンコ二百枚! でどうだ?」
ボクは頭がクラッときたね。なにしろ、ボクはメンコが弱くてさ、それにそんなに小遣いをもらってたわけじゃないから、百枚とか二百枚、なんていう�まとまったメンコ�を手にしたことなんてなかったから。
すぐにツネヒトちゃんは、メンコ二百枚を持ってきて、ちゃんと数えさして、ルーペとガラスの円盤四枚入りのボール紙の箱ととりかえた。ボクはなんだか頭がグルングルンしてボーッとしてる。とってもイロンなことが一挙に起こっちゃった。
しばらく、ボクはしあわせでした。メンコと引きかえに手ばなした宝物のことも忘れかけていた。
三、四日たったころだと思います。その日は雨が降ってたから、ツネヒトちゃんの家で、みんなでプロレスごっこをしていた。そのころのボクらのプロレスごっこっていうのは、かなり本気の真剣勝負で、「ロープ! ロープ!!」がないと、とんでもないことになる、ものすごくキンパクした遊びでした。自分たちで始めたくせに、終わるとみんな上気した顔でホッとしたりするような具合でした。
さて、そのホッとしたころであります。ツネヒトちゃんがボール紙のあの箱を、出してきたんです。ガラスの円盤を中から出して四枚重ね、その上に銀色のルーペを置くと、
「これ、見てみ?」と言うんです。
「こうするとさ(と言って箱の中の薄紙をちぎって円盤の上にのせ)、ヨットが湖に浮かんでるだろ?」
ルーペをのぞくと、たしかに深い透明な水をたたえた湖がそこにあって、まっ白な帆のヨットが浮かんでいるんです。小さな観光地。
「もうとっかえてやんないかんな、オレのだかんな」
とツネヒトちゃんは、ボクの要求を先回りに封じてしまうんでした。
ボクはとっても残念だった。ルーペやガラス板が実は、ヨットの浮かぶ小さい湖だったのに自分で気がつかなかったのが、ザンネンなんでした。
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