返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

ぼくのコドモ時間17

时间: 2019-12-05    进入日语论坛
核心提示:後ろ向きの記念写真秋になったら�運動会�か�学芸会�ですが、ボクが初めて�学芸会�の�劇�に出たのは秋じゃあなかったと思
(单词翻译:双击或拖选)
後ろ向きの記念写真

秋になったら�運動会�か�学芸会�ですが、ボクが初めて�学芸会�の�劇�に出たのは秋じゃあなかったと思います。というのも、そのボクが初めて�出演�をした�劇�っていうのは、ホントの本式の�学芸会�じゃなかったからでした。
あれは、二年生の終わりのころでしたから、春だったのかな、とにかく一年生の時にも、二年生の時にも�劇�の役がなかったコドモのために、そういう子たち用の�学芸会�をしてあげよう。かわいそうだから、ということだったらしいんですよ。
とにかく�戦後民主主義教育�ですから、運動会の徒競走は手ェつないでいっしょにゴールなんていう、いまどきの極端平等主義ではないにしろ、まァ�平等�を先生がたは気にしていたんですね。
わざわざ、先生は手を上げさせたもんです。
「一年生の学芸会でも、こないだの学芸会でも劇に出られなかった人、手を上げて」って、そんな|あまりもん《ヽヽヽヽヽ》みたいのって、おもしろくないですよね。でもまァ、とにかく一度も選ばれなかったやつばっかりで、劇をやれと、こういうことになった。
とにかく、�役�を消化させることが主眼ですから、主役というのはないのね。春になったから、カエルやヘビや虫なんかが穴から出てくる、花が咲いてツクシが伸びて、もんしろちょうが飛んできて、
「わーい、わーい。春だ春だ」
「春になった、うれしいな」
「そーだそーだ」
みたいなズサンな芝居なの。で、みんなで輪になって、「春の小川」とか歌う。
ボクは�つくし㈪�か�つくし㈫�の役でしたね。�つくし㈰�が、
「春になった、うれしいな」とか言うと、
「そーだそーだ、うれしいな」とか言う。しかも二人いっしょのセリフなの。
でもまァ、とにかく初めての�劇�ですからね、一応、放課後に残って練習したり、�つくし�のお面を自主製作したりするんですよ。画用紙に茶色のクレヨンでつくしの|ホ《ヽ》のとこの絵を描いて切り抜いて、輪ゴムつけてかぶれるようにする。
 �つくし㈰�のコミト君は、ごっついボール紙でりっぱなつくしをつくりました。ボクのはへにゃへにゃでしたが、でもかなり|リキ《ヽヽ》入れてつくったんですね。
で、当日は�ヨソ行き�のコール天の長ズボンはいてね、靴下なんかも新品のはいて出かけていったト、思いねえ。
ところで、昔の小学校、とくに急ごしらえの戦後の小学校では、校舎をつくるのも大変な時期で、講堂だの体育館だの図書館だのってのがまだそろっていなかった。学芸会はブチヌキ教室っていって、いつも教室に使ってる部屋の壁がとりはずしができるようになってて、これを三つくらい使って講堂のかわりにしたんですね。
学芸会の舞台は、規格のそろった頑丈な机をピッタリ並べて、これをたがいにしばりつけ、さらに新聞社からもらってきた、じょうぶな紙型を敷きつめて、さらにゴザを敷いてこれがステージになるんでした。
ところが、この�消化学芸会�のほうは、正式じゃないから、本式のブチヌキ教室が使えない、さらに規格ぞろいの机も調達できないんで、高さがまちまちの古机です。いちいち脚をしばったりはメンドーなり、ってんでただ単にデコボコに並んだ机に、乱暴にゴザが敷いてあるっていう、なんだか情けないようなステージなんですね。
だから、手をつないで円くなってぐるぐる回りながら�春の歌�を歌ったりするところは、足もとがガタガタでけっこう要注意です。�正式�の学芸会じゃないから、父兄のみなさん、というか、�お客�がもう、極端に少ない。ほとんど出演者の関係者だけ、みたいなんですね。
でもまァ、とにかく�選にもれた人々�の�劇�は始まった。本式の時みたいな�幕�もない。大道具の草むらとかも、前に使ったヤツの流用です。
「そーだそーだうれしいな」
「そうしよう、そうしよう」
って、|全セリフ《ヽヽヽヽ》を言い終えてしまうと、あとは文部省唱歌「春の小川」その他を歌うだけで終わりです。
そんなワケで、劇初出演もつつがなく、めでたく終えることができましたのも、ひとえにストーリイもセリフも極力カンタンにしてくださった先生のおかげでございます。のであった。
この�消化学芸会�が終わって一週間後くらいだったろうか? 先生が、
「こないだの学芸会の写真、ほしい人は申し込んでおくように」とおっしゃった。当然初めての�劇出演�ですから、記念の写真がほしくないワケはない。
さらに数日たって、大きめの封筒に入った写真を見ておどろいた。とにかく、写真の大きさが異常にでかい。当時は紙焼きは名刺サイズくらいがほとんどだったのに、その�記念�はノートくらいに大きいのだ。が、それより何より、その写真に写ってるボクは、カンペキに後ろ向きだったのである。
例によって、家族にこの写真は大笑いされてしまうのだった。
「後ろ向きの写真を、こ〜〜んなに引き伸ばしちゃって……(笑)」というわけです。
ところでボクは、この後ろ姿の舞台写真をいまではとても気に入ってます。この�つくし㈪�だか�㈫�だかのお面をかぶった小学生の頭を、なでてあげたいような気分ですね。彼はおそらく、キッとした顔で振り返って、「キモチワリィことすんな」って言うでしょうけどね。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%