私は、ひとりで外を歩いているとだれかに声をかけられることがとっても多い。
「かのじょォ、お茶飲まない」
のたぐいから、
「ちょっとアンケートに答えてください」
から、「あなたのシアワセのためにおいのりさせてください」まで、とにかく多い。あんまり多いと、嫌になる。誰でもそうなのかと思っていたら、そうでない人もいて、ずっとそういう人がうらやましかった。
しかし、転んでも必ずその手に十円玉をつかんで起きる私は、「道でやたらと人に声をかけなければならない職業」の人たちのことをエッセイに書いて、すっかり元を取ってたりして。ふっふっふっ。しかし、声をかけられる性質は依然として消えない。
真っ赤な口紅ひいて黒革の上下に網タイツで歩いても、知らないおばあちゃまに道を聞かれてしまう私っていったい何なのとしみじみ思うわ。