働き者が好き
二カ月ほど前のこと、私のバンド「アベックス」では、コーラスの女の子のオーディションをした。歌と踊りを少しずつやってもらい、そのあと短い面談をしたのだが、「今どうやって暮らしているの?」と聞いたとき、一人だけ「今はなにもしてませーん。当然働くのがあまり好きじゃないもんでぇ、音楽でやっていければいいなって……」と答えた子がいた。
そのときはさほど気にしなかったのだが、その後、同じように「働くのがあまり好きじゃないから。お金がすごく良いバイトならやりたいけど」などと言っている女の子を二人も見た。どっちもバンドなどをやってる子であり、また、先の彼女と同じく「当然でしょ」といった風にしている。はて、なんなのだろう。バンドをやっている女の子の間では、そういうポーズがはやっているのだろうか。私は今まで、働くのが好きなバンド関係者しか見たことがなかったので、すごく不思議だ。
もしかしたら、お金のためには音楽やりたくない、という意味で言っているのかもしれないが、あんまり大っぴらにそういうことを言ってると「ああいうこと言ってる子は雇いたくないものだ」と思う事業主もいるだろうし、先で困ることになったりはしないのだろうか。私の仕事場も小さい会社になっていて数人の人を雇っているが、働くのがあまり好きじゃないと言ったりする人にお給料をあげるのは嫌だ。会社が小さいと結局いろんなことをやってもらうことになるから、「あたし、遊ぶのが好きです」程度の発言にも警戒してしまう。
考えているうちに、ふと、男の子だったらそういうことは言わないのかもしれないな、という悲しい考えが浮かんできた。バンドやったりして勇ましそうでも、女の子はまだ結婚さえすれば男の子が養ってくれると思っているのだろうか。
メレンゲとは、その名の通りメレンゲ(卵の白身をかきまぜて泡立てたやつ)を作るときの、チャッチャカ、チャッチャカというラテンのリズムのことです。メレンゲの曲は大変にぎやかで、活気が出るのでとても人気があります。