私は、漫画家にしては視力がいい方みたいで、調べてはないけど今でも一・五か一・二はあると思う。ところが目の病気にひどく弱いのよ。ものもらいなんかできると、自分でもぎょっとするほどはれあがる。ものもらいならまだわかるけど、眠っている間に、まぶたを虫にさされて、起きたら世にもうらめしそうな顔になってしまっていたということが、今までに二度もある。
かきむしったりするわけでもないのに、朝起きたら突然。最初は小学生のときだったから、ああびっくりしたで済んだけど、二度目のとき私はすっかり成人女子に成長してウェイトレスのバイトなどをしていたのだ。これは困った。
眼帯して出勤しようと思ったが、顔じゅうが熱っぽいため、化粧してはいけないと目のお医者からは言われている。悲しいことに、化粧しないととてもサービス業者やれるような顔じゃないのよね、私……しくしく。かといって、「虫にさされてまぶたがはれまして」と電話したら、主任は何と思うだろう。
体の方は何ともないのだし、きちんと理由を説明して一日だけ休みをもらおう。そう思った私は勤めているお店に行き、主任に理由を話し、はれあがったまぶたもちょっとだけ見せて、その日一日バイトを休んだ。
翌日から、眼帯こそしていたが、私はバイトに出た。もともと仕事を休むのは大嫌いなのだ。「きのうはどうもすみませんでした」とあいさつしたのだが、みんなどうも反応がおかしい。まあ、知らない間にまぶたがはれたなんて気味悪いとかなんとか思われているんだろうと気にせず働いていたのだが、そうではなかった。
たまたま来ていた支店の店長に、ニタニタしながら「内田さんは彼氏に殴られたそうだな」と言われたのだ。むかっと来て主任を見たら、主任は知らんぷり。わたしゃ一体何のためにあの顔でここまで来たの。悔しかったようん。