夏菜ぬくや髷に粒置雨細か みさ子
平菜、京菜、ふだんそうなど、夏季、食べる菜類を総称して、夏菜といいます。この中でも、ふだんそうが代表的なものです。関西では、味がよい菜というので、ふだんそうのことを「うまい菜」と、いってます。益軒先生の『菜譜《さいふ》』には《ふだんそう》 異名 甜《てん》菜 ※[#「くさかんむり/忝」]《てん》菜 毎月おひ/\にまけば、つねにあり、故に俗にふだんさうと云、はうれんよりさかへやすくして、つくりよし、ゆびきて茎も葉も酢醤油にひたし食す、味はうれんにおとらず、性はよからず、虚冷の人はくらふべからず」——と、記されています。この説明でお分りのように、ふだんそうは、非常に丈夫な植物で、アカザ科に属する越年生の草本。殆ど病害虫におかされることがなく、また、四季を選ばず生育し、葉を次々と摘み取って長く収穫することができるので、庭などに植えておくと、かきちしゃ同様、重宝します。
在来種には、葉の色がやや淡くて、形もやや長めのものと、葉の色が濃く、その形が卵形のものとの二種類があります。後者は、早生種で、ほうれんそうの代用品として、夏の間、葉菜の欠乏する時期に、葉を次々と摘み取って、栽培するには適した品種です。これらの在来種のほかに、外国から輸入された洋種もあり、フランス原産のホワイトリーフと、米国産のシルバースイスチャードなどがそれです。米国産のスイスチャードは味もよく、もっとも優れた品種です。
ちょっと泥くさい匂いがあるところから、嫌うひともいるようですが、慣れると、この泥くささも一種の香味で、捨てられない味をもっています。ゆでておひたし、ごまあえ、汁の実など、用います。アクが強いので(とくに葉の部分)、ゆでてから、水によくさらします。
平菜、京菜、ふだんそうなど、夏季、食べる菜類を総称して、夏菜といいます。この中でも、ふだんそうが代表的なものです。関西では、味がよい菜というので、ふだんそうのことを「うまい菜」と、いってます。益軒先生の『菜譜《さいふ》』には《ふだんそう》 異名 甜《てん》菜 ※[#「くさかんむり/忝」]《てん》菜 毎月おひ/\にまけば、つねにあり、故に俗にふだんさうと云、はうれんよりさかへやすくして、つくりよし、ゆびきて茎も葉も酢醤油にひたし食す、味はうれんにおとらず、性はよからず、虚冷の人はくらふべからず」——と、記されています。この説明でお分りのように、ふだんそうは、非常に丈夫な植物で、アカザ科に属する越年生の草本。殆ど病害虫におかされることがなく、また、四季を選ばず生育し、葉を次々と摘み取って長く収穫することができるので、庭などに植えておくと、かきちしゃ同様、重宝します。
在来種には、葉の色がやや淡くて、形もやや長めのものと、葉の色が濃く、その形が卵形のものとの二種類があります。後者は、早生種で、ほうれんそうの代用品として、夏の間、葉菜の欠乏する時期に、葉を次々と摘み取って、栽培するには適した品種です。これらの在来種のほかに、外国から輸入された洋種もあり、フランス原産のホワイトリーフと、米国産のシルバースイスチャードなどがそれです。米国産のスイスチャードは味もよく、もっとも優れた品種です。
ちょっと泥くさい匂いがあるところから、嫌うひともいるようですが、慣れると、この泥くささも一種の香味で、捨てられない味をもっています。ゆでておひたし、ごまあえ、汁の実など、用います。アクが強いので(とくに葉の部分)、ゆでてから、水によくさらします。