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日本むかしばなし集86

时间: 2020-01-19    进入日语论坛
核心提示:本取山《もととりやま》むかしは、いろいろふしぎなことがありました。これはその一つです。越中《えつちゆう》の国というのは、
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本取山《もととりやま》

むかしは、いろいろふしぎなことがありました。これはその一つです。
越中《えつちゆう》の国というのは、富山県のことですが、その砺波郡《となみぐん》の山奥《やまおく》に、岩にほれこんだ深いほら穴《あな》がありました。いくら深いか、奥が知れないというほど深い、ほら穴だったのです。ところが、そのほら穴のある山のふもとに、一つの村がありました。その村の人たちは、いつごろからか、その穴の入口に来て、ぜんだのわんだの、じぶんの家に入用《にゆうよう》な道具《どうぐ》を貸《か》してもらうしきたりのようなものができていました。たとえば、あすはおまつりだとか、あるいはおよめさんがくる日だとか、いうので、お客さんをたくさんよぶことになったとしますと、まえの晩《ばん》、そのほら穴の入口に行って、こうたのみます。
「もし、おねがいいたします。わたくしは村の何《なん》の何某《なにぼう》と申します。あすはむすこのよめどりで、客を三十人よばなくてはなりません。つきましては、ぜん、わん、さら、茶わんの類が、わたくしどもの家《いえ》では十人まえしかそろいません。まことにおそれいりますが、あとの二十人まえ、どうかひとつ、お貸しになってくださいませ。明朝いただきにあがりますれば、なにぶんともよろしくおねがい申しあげます。」
そして、そのよく朝、穴の入口へ行ってみれば、たのんだとおりに、ちゃーんと、二十人まえ、おぜん、おわん、おさら、お茶わん、そのほか入用なもの一とそろい、そこにおいてあったといいますから、しかしごうぎなものであります。
それで、その何の何某という家では、ぶじによめどりをすますと、その穴から借りた道具をきれいに洗って、また穴の入口へ持っていき、
「ありがとうございました。村の何のなにがしでございます。おかげさまで、むすこのよめどりをぶじにすませました。それでは、拝借《はいしやく》のおぜん、おわん、おさらなど二十人まえ一式《いつしき》、ここにとりそろえて、おかえしいたします。どうぞ、おしらべのうえ、おしまいになってください。では、ごめんください。」
まず、こんな調子で、礼をいってひきさがったものだそうであります。そうすると、そのぜん、わん、いつのまにかしまいこまれるとみえ、入口からきえてなくなります。そしてまた、いつでも入用のときたのめば、そこへ、そろえてだしてあります。とにかく、むかしはふしぎなことがたくさんありました。
そのおぜん、おわんというのが、ウルシぬりの、とても美しいものだったそうで、欲《よく》ばりでなくても、なにか、かえすのが惜《お》しいような気持になりました。そこは思いなおして、みんな、ちゃんとかえしました。しかしかえさなくても、さいそくにくる人もないのですから、借りっぱなしもできたわけです。それで、あるとき、そんなお百姓《ひやくしよう》がひとり、村の中で出てきました。ぜん、わん何人まえか、とうとう借りっぱなしてしまったのです。わすれたような顔をして、そのまま使っていました。それでも、そのぜん、わんがきえてなくなるということもなく、なんのさいそくがあるということもなく、まったく使いほうだい、とりほうだいだったので、そこでは喜んで、うまいことをやったつもりでおりました。もうそれきり、ほら穴へたのみにいっても、道具がでなくなったのはいうまでもありません。しかし、その道具をせしめたお百姓、なにかばちでもあたりはしないかと、すこしは心配していましたが、それもなく、しだいにお金持にさえなって行きました。
ところで、そのお百姓、すこしお金ができると、こんどは、子どもがほしくなりました。これで子どもがひとりあれば、いいぶんないのだが——、などと思うようになりました。すると、どうでしょう。まもなく、おかみさんのおなかが大きくなって、かわいい子どもが生まれてきました。やれ、うれしや。うちはもうこれで満足。金もあり、子どももあり、そのうえ、あの美しいぜん、わんまであり、——というぐあいです。
しかし、なにもかもみんなよいということは、なかなかないもので、せっかく生まれたそのかわいい子どもが、五つになっても、六つになっても、立つことができません。立つことができないくらいですから、もとより歩くことはできません。もう立つか、もう歩くか、それでも親心でまちまちしておりますと、十《とお》になった、秋のことであります。稲刈《いねか》りがすんで、夫婦は、家の庭でせっせと、もみをこいでいました。そして、こいだもみを、たわらにつめていたのです。すると、その足の立たない男の子が、家からゾロゾロはいだしてきました。はじめは、そのへんをはいまわり、遊びまわっておりましたが、ちょうどそこにころがしてあった、二俵《ひよう》のたわらのあいだにはいったと思うと、両方のそのたわらを力にして、子どもが立ちあがりました。
「あっ、子どもが立った。立った、立った。」
と、夫婦は手を打って喜びました。それから、どうするかと、見ていると、どうでしょう。立った子どもは、その両方のたわらをぐっとひきさげました。
「あれえっ。」
夫婦は、まったくおどろきました。それでなおも見ていますと、子どもはそのもみのつまった両手のたわらを、ぐんぐんとひとゆすりして、それから、とっとと小《こ》ばしりに歩きだしました。
「あれ、あれ、あれ。」
と、ふたりは、あまりのことにびっくりして、ただそのあとをついて行くばかりで、どうしようという考えもでてきません。すると、子どもは屋敷《やしき》を出て、どんどん山の方へかけていきます。夫婦はそのころになって、それに追いつこうとあせるのですが、なんともふしぎなことに、子どもは足がはやくて、追いつくことができません。やっと、見うしなわないくらいについていくと、だんだん山道をのぼって、いつか、おぜんやおわんを借りた、あのほら穴の中にかけこんでしまいました。父親はやっと、そこまでみとどけ、その入口で大息《おおいき》をついていました。一時《いつとき》して、母親もやってきて、
「どうしよう。どうしよう。」
と、相談《そうだん》しましたが、なにぶん奥はまっ暗《くら》で、どうすることもできません。はいっていくなど、おそろしくて、できることではありません。ただ、奥の方をながめて、子どもの名まえをよんで、出てくるのを待つばかりです。そのうち、奥の方で話声《はなしごえ》が聞こえてきました。よく聞いてみると、
「やっと、米を二俵だけ持ってきた。これでまあ、もとだけはとれたというものだ。」
そういっておりました。それから、このほら穴のある山を本取山というようになりました。
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