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日本むかしばなし集87

时间: 2020-01-19    进入日语论坛
核心提示:酒の泉《いずみ》むかし、岩泉《いわいずみ》の里に、ひどく貧乏《びんぼう》な親子がおりました。子どもが二つのときに、父親が
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酒の泉《いずみ》

むかし、岩泉《いわいずみ》の里に、ひどく貧乏《びんぼう》な親子がおりました。子どもが二つのときに、父親が死に、十三になったとき、母親までも死にました。子どもは、たったひとり残ったので、近所のお百姓《ひやくしよう》の家にせわになり、馬をひいて荷物《にもつ》を運ぶしごとをしていました。
ところが、その子が、だんだん日がたつにつれ、たいへんな酒好きになりました。朝晩、馬をひいての行き帰りに、どこで飲むのか、お酒を飲んで、鼻歌《はなうた》まじりで歩いております。
だんなは、どうもあやしいと思いました。
——自分にないしょで、よその人の荷物をよぶんに運んで、それでお金をもうけているにちがいない。
と、はんだんしたのです。そこで、ある日、だんなが、
「よぶんの荷物はつまないよう、もうすこし馬に気をつけてやりなさい。いかに馬だといっても、命もあり、心もあるものじゃ。だいじにしなくちゃいかん。」
と、しかりました。すると、子どもは、
「おれは十三になるこの年まで、この家のやっかいになって働いてきた。これまで、何年となく、毎日毎日、馬をひいて歩いたが、一日に、お昼《ひる》のべんとうをもらっていくほかは、一文《もん》のぜにも、もらったことはない。おれが酒を飲んだからって、ほかの人のイワシ一ぴき、馬の背中《せなか》に乗せて、だちんをもらったことは、さらさらないのだ。」
こういいました。これを聞いただんなは、
「では、おまえは、どこからお金をもうけて、そう毎日、お酒を飲んで酔《よ》っぱらっているのだ。」
と、追いつめました。すると、子どもは、きっぱりと、
「だんなは、酒というものは、ぜにだして飲むものと思ってるから、ふしんがるのだ。酒は、山や谷にわいていることもあるのだ。おれは、浜への行き帰りに、そのわいている酒を、ただで飲んで帰ってくるのだ。」
と、いいました。ますますおかしいと思っただんなは、
「そういう酒があるなら、おれをそこへつれてってくれ。もしうそだったら、きょうかぎり、この家から追いだすから、そう思え。」
と、いいわたしました。
そこで、子どもはだんなをつれて、山へはいって行きました。すると、どこからともなく、なんともいえない、いい酒のにおいがしてきます。先にたった子どもが、やがて、立ちどまって、だんなを手まねきします。行ってみますと、岩のあいだから、チョロチョロ、チョロチョロ、泉がわきだしているのです。
「この泉が酒だ。」
と、子どもがいいますので、だんなが両手にうけて飲んでみますと、まったくなんともいいようのない、うまい酒です。だんなは、おどろいて、
「これは、いい酒だ。これは酒の泉だ。おれはここへ酒屋を作って、酒を売りだすことにしよう。」
こういって、大きな倉《くら》や家をたてならべ、いろいろさまざまの道具《どうぐ》を買い集め、大きなかめに、いくつもいくつも、酒をいっぱい入れました。
ところが、どうでしょう。だんながこの酒を飲むと、その酒が、酒でなくなって、みんな水なんです。子どもが飲むと、たちまち、いい酒になるのです。
「これはおれの宝《たから》ではない。おまえがさずかった宝だ。この店も倉も道具も、みんな、おまえにやろう。ここで酒屋をひらきなさい。」
だんなはこういって、なにもかも、子どもにゆずりました。子どもの酒屋は、ますますはんじょうして、「酒屋長者」とよばれるようになりました。
いまの岩泉という町は、その酒の泉のあったところだということです。
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