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日本むかしばなし集89

时间: 2020-01-19    进入日语论坛
核心提示:ぼたもちの話むかし、山寺に、たいへんぼたもちのすきな和尚さんがありました。だん家から、やれお彼岸《ひがん》だの、やれお日
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ぼたもちの話

むかし、山寺に、たいへんぼたもちのすきな和尚さんがありました。だん家から、やれお彼岸《ひがん》だの、やれお日《ひ》まちだのといって、ぼたもちをお寺に持ってきました。しかし、小僧さんには一つもくれず、和尚さんひとりで、みんな食べてしまいました。小僧さんは食べたくてなりません。ところが、ある日のことです。だん家から、ぼたもちを持ってきました。和尚さんは、ちょうど、これから村へ出かけようとするところでしたが、大急ぎでいくつか食べました。そして残ったぶんを、戸だなにしまい、山をくだっていきました。
あとに残った小僧さん、さあ、ぼたもちがほしくてなりません。見るだけならいいだろうと思って、戸だなを開けて、ぼたもちをのぞきました。すると、なんと、そのうまそうなこと。しかたがない。一つだけつまんでみよう。一つなら、和尚さんにわかりゃしない。そう思って、つい、一つつまんで食べました。そのうまいこと。一つでは、どうしてもすまされません。二つくらいなら、まだ、わかりゃしない。そう思って、二つ目をつまみました。うまいといったら、はじめのより、もっとうまいくらいです。これじゃ、どうして、やめようたって、やめられない。ええっ、三つ目をつまめえっ。それで三つ目を、大口にパクッと食べてしまいました。
こんなありさまで、小僧さんは大ざらにあったぼたもちの山を、一つ残らず、みんな食べてしまいました。食べてしまうと、さあ、たいへんです。どうしたらいいでしょう。和尚さんが帰ってきたら、
「こら、小僧、ここにあったぼたもちどうした。」
そういうにちがいありません。
「へい、わたくしがちょうだいいたしました。」
「ばかっ、だれがおまえに食べろといった。」
「はい、だれもおっしゃいません。わたくしが申しました。」
「なんと、おまえが申した。」
「はい、おまえはかわいそうなやつじゃ。和尚は毎月、ぼたもちを二十も三十も食べている。それなのに、おまえには、半分も、ひとかけらもくれない。ちょうどいま、和尚はるすだ。ネズミがくったことにして、もちをみんなやっつけてしまえ。そう、自分で自分に申しました。」
「ばかやろうっ。」
小僧さんは、こんなことをいってみました。これは、そのころ、お寺でよくあった問答《もんどう》という話しかたです。ふたりが仏さまのことをいいあって、勝負をきめるやりかたです。これでは、どうも小僧さんのほうが負けそうです。そこで小僧さん、しばらく腕《うで》をくんで考えました。そのすえ、やっといいことを思いつきました。まず、おさらの上に残っているあんこを持って、本堂《ほんどう》へ行きました。本堂には、木の仏さまや、金の仏さまが立っていました。その金仏《かなぶつ》さまのほうの、口のまわりにあんこをぬっておきました。すると、まもなく、和尚さんが帰ってきました。
「小僧、帰ったぞ。」
「はい、おかえりなさい。」
和尚さんは、あんのじょう、すぐ戸だなを開けに行きました。そしてすぐ、ぼたもちのなくなっているのを見つけました。
「小僧、ここにあったぼたもちはどうした。」
「はい、ぼたもちはどうしたか、わたくしはぞんじません。」
「ぞんじませんといっても、一つもなくなっているじゃないか。」
「そうでございますか。それなら、だれかが食べたにちがいありません。」
「だれかが食べたといっても、この寺に人間はおまえひとりじゃないか。ネコやネズミが、この戸だなを開けはしまいし、おまえのほかにだれが食べるか。」
どうも、これはたいへんなことになりました。和尚さんは、顔をまっかにして、近くにあったしんばり棒《ぼう》をとりあげました。それで小僧さんを打つつもりかもしれません。そこで小僧さんがいいました。
「はい、人間はわたくしだけですが、人間でなくても食べるものは、あります。」
「人間でなくて、じゃ、だれが食べたというのだ。」
「仏さまが食べられました。」
「なにい、仏さまが食べられました。」
「そうです。本堂の金仏さまが、戸だなを開けて、ぼたもちを食べておられました。うそとおもわれますなら、仏さまに聞いてください。」
では——ということになり、和尚さんと小僧さんとは、お寺の本堂へ行きました。行ってみると、一つの金仏が、口にあんこをつけて立っていました。
「和尚さま、この仏さまです。口にあんこがついております。この仏さまが食べられたのです。」
小僧さんがいいました。そこで和尚さんは、その前へ行って、仏さまに聞きました。
「仏さま、仏さま、わたくしのるすのあいだに、戸だなを開けて、あのぼたもちをあがったのは、あなたですか。」
しかし仏さまは、ウンともスンともいわれません。和尚さんはじれったがって、大声を出しました。
「仏さまっ、わたくしのるすちゅう、戸だなを開けて、ぼたもちをくったのは、あんたでしょっ。」
しかし仏さまは、やはりだまったままです。
「仏さまっ——」
和尚さんがいくら大声を出しても、仏さまは返事をしません。いよいよおこった和尚さんは、
「仏さまっ、いくらだまっていても、口のまわりにあんこがついてるじゃないですかっ。」
そういうと、いっしょに、つい、たまりかねたか、もっていたしんばり棒で、金仏の肩《かた》のあたりをうちました。金仏ですから、クワ——ンと、音がしました。
「あれっ、クワ——ンって、仏さまおっしゃったようだな。」
和尚さんはそういって、もう一つ、こんどは仏さまのお尻《しり》のあたりを、一つ、強くたたきました。
「クワ——ン。」
「クワンか。なるほどな。仏さまはくわんとおっしゃる。」
そこで和尚さんはいいました。
「小僧、仏さまはクワンといっとられるぞ。」
すると、小僧がいいました。
「和尚さま、仏さまはたたかれてはだめです。水の中に入れられると、ほんとのことをいわれます。」
「そうかな。それじゃ、仏さまに水にはいっていただこう。」
そういって、金仏を、お寺の庭の泉水《せんすい》に入れました。すると、金仏の足のところに一つ穴《あな》があいていて、そこから水が、クッタ、クッタと、音を立ててはいりました。これを聞くと、小僧さんがいいました。
「ね、和尚さん、クッタ、クッタ、クッタ、クッタ、仏さまいっておられるでしょう。」
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