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滝上くんは、花園神社の真中で「ばァか」と一人で思いました。思って、口に出しました。滝上くんは、自分がせっかく感じないことにしてしまったものをドンドン叩かれて、それをこじ開けられてしまったことに腹を立てていたのです。�女の子ではないヤツ�を無理矢理�はっきりしない女の子�だと思い直して、そしてそいつと手が切れてセイセイしたと滝上くんが一息つくのは、それから、もう少し後のことです。
新宿の大通りに出て滝上くんは、「もう少し飲みたいな」と思いましたが、でも滝上くんのオーバーのポケットにはもう百円玉しかありませんでした。
「家へ帰るのはヤだけど家へ帰るしかないな」と思って、滝上くんはまた一歩、�大人�への道を歩き出したのです。
二十歳《はたち》になった滝上くんが、大学二年生になろうとする、春休みのことでした。
「家へ帰るのはヤだけど家へ帰るしかないな」と思って、滝上くんはまた一歩、�大人�への道を歩き出したのです。
二十歳《はたち》になった滝上くんが、大学二年生になろうとする、春休みのことでした。