——毎朝、起き抜けに髪をシャンプーして、排便後はおしりを洗い、ウーロン茶を飲んでドリンク剤で元気をつけ、一日働いたら人工温泉浴剤入りの風呂に入って寝る。
これが、いわゆる健康生活の平均パターンだそうな。医事評論家の小山寿さんが『現代用語の基礎知識』のなかで解説していた。
世は、挙げて「健康」「健康」と騒いでいるが、健康づくりブームの実態なんて、こんなものらしい。ついでに、禁酒、禁煙、禁ナントカに心がけ、人心の退廃を憂えて、
「ホント、長生きなんかしたくない」
と嘆いてみせれば、ま、完璧だろう。
漫画家の福地泡介さんなら、
「健康のためには命も要らない」
と笑うところだ。でも、わたしに言わせれば、ちかごろのように、一億こぞって「健康」「健康」と躍起になっていることこそ不健康だと思うが、どうだろう?
「養生に身が痩せる」
ということわざは、
「健康に心がけるあまり、神経を遣ったり、金銭上の心配をしたりして、かえってやせてしまう」
といった意味である。とたんに、
「だったら、ダイエットにいいわね」
という声が聞こえてきそうだが、この「やせる」は、もちろんスマートになることではない、念のため。