返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

男の日曜日71

时间: 2020-02-07    进入日语论坛
核心提示:人生観のモンダイ国立がんセンター研究所疫学部長の平山|雄《たけし》さんに、「女のひとは、いったん覚えたことはなかなかやめ
(单词翻译:双击或拖选)
人生観のモンダイ

国立がんセンター研究所疫学部長の平山|雄《たけし》さんに、
「女のひとは、いったん覚えたことはなかなかやめられないのです」
と言われて、
「ムベナルカナ」
と思った。断っておかなければならないが、平山さんは、
「女のひとは、男にくらべてタバコをやめにくい」
ということを言おうとして、そうおっしゃったのである。
女のひとが男にくらべてタバコをやめにくいことについては、女のひとがタバコを喫いはじめた動機に原因がある。男がタバコを喫いはじめるのはほとんどが好奇心からだが、女のひとの場合は、そんな単純なものではないらしい。
早い話が、意識の底に、
「男が喫っているものを女が喫って、なぜ悪い?」
といった気概(?)を秘めて喫っていらっしゃるのである。タバコを喫うことが、そのまま男と肩を並べることになるような錯覚にとらわれているらしい。
はじめてタバコを喫ったときは、アタマがクラクラして、
「どうして、オトナはこんなものを喫うんだろう?」
と思ったものだ。わたしなんぞは、根がマジメだから、最初の一服目からちゃんと肺まで吸い込んじゃったにちがいない。
「こんなもの、二度と口にすまい」
慌てて、噎《む》せて、根がマジメだから、心ひそかに誓うのだ。
しかし、そう思いながら、
「つい二本目に手を出してしまう」
というのが、ニコチンの持っている魔力ではあるまいか? 気がついたら、いっぱしの愛煙家になっていて、
「うまいな」
仕事が終わるたんびに、紫煙をくゆらせている。
ヘンな言い方かも知れないが、男がタバコを喫うときは、
「うまいなあ」
と思って喫うのである。はじめてタバコを喫って、ゴホゴホいいながら胸をたたいて転げまわったことなんぞは夢のようだ。タバコそのものが、うまい。
「だから、やめられる」
と、平山さんは言うのである。もういちどヘンな言い方かも知れないけれど、
「うまいと思って喫っているタバコはやめられる」
というわけだ。
「うまいから、やめることができる」
理屈である。わたしも、そうしてタバコをやめた。
ところが、女のひとは、
「うまいな」
と思って紫煙をくゆらせているわけではないから、やめられない。うっかりタバコをやめたら、無意識のうちに、
「これまで、せっかく男と伍してきた人生がダメになってしまう」
と考えているから、ぜったいやめることができない。
おおげさに言えば、彼女にとってタバコをやめることは、それまでの人生を否定することなのだ。彼女自身の生き方にかかわってくる。
その点、男にとってタバコをやめることなんぞ、人生観のモンダイでもなんでもない。だいたい、
「君子は豹変《ひようへん》す」
というくらいだから、男にしてみれば変わることのほうがホントだろう。
女のひとが気の毒なのは、彼女たちが、
「男がやれることなら、なんでもやれる」
と思い込んでいても、実際には、ここまでできないことだろう。いや、もちろん、女のひとのなかには、しょっちゅう心変わりするものもいるけれど、そういうひとは女だから心変わりするのであって、
「男がやれることで、女がやれないことなどない」
と思っているわけじゃない。
そんなわけで、いったん女のひとがタバコを覚えたら、なかなかやめられないらしい。こういうのを、学術的(?)には、
「女のひとがタバコを喫う場合は、特定の原因があり、ほとんどタバコを楽しんだ経験がなく、目の前に起こっている現実問題からの逃避手段として利用する傾向が強いことを示している」
というのだが、サテ、どうだろう?
そういうことなら、
「男の中にも、そういう人間はいる」
と思えるけれど……。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

[查看全部]  相关评论