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撫で肩ときどき怒り肩16

时间: 2020-02-08    进入日语论坛
核心提示:ホタル遊びの頃がなつかしい子供たちの間でテレビゲームやパソコンがものすごい人気である。デパートのおもちゃ売場でもたくさん
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ホタル遊びの頃がなつかしい

子供たちの間でテレビゲームやパソコンがものすごい人気である。デパートのおもちゃ売場でもたくさんの子供が群がっている。私が四つか五つのころはデパートでおもちゃを買ってもらえるのは誕生日のプレゼントくらいで、普段はおじいさんとおばあさんが細々とやっている駄菓子屋のような店で買っていた。そこを私たちはオバケの店と呼んでいた。二軒隣りにある幼稚園で山羊《やぎ》を飼っていたので、私はいつも山羊のために家からチリ紙をもってきてそーっと差し出し、ムシャムシャ食べてくれるとホッと安心したりした。その帰りにいつもオバケの店に寄った。水鉄砲、キンキラのコインチョコレート、セルロイドの小さなキューピー人形。十円とか二十円といった程度の値段だったが、色とりどりのおもちゃを目の前にして、
「今度おこづかいをもらったら、どれを買おうかなぁ」
とあれこれ考えるのが楽しみだった。私はおこづかいをもらうと、目をつけていた蛍光塗料が塗ってあるゴムボールを買った。両手にしっかり握ってなるべく陽《ひ》のかげっている所を選んで家に帰った。私は玄関を開けるやいなやダダーッと押し入れの中に突進し、バタンとフスマを閉め、中でそーっと両手を開いた。するとそのゴムボールはボワーッと青白い光を放った。布団の上をそっと転がすとその光もコロコロと動いていった。しばらくそれを両手で握ったりはなしたりして光が見え隠れするのを楽しんでいた。その時、突然ガラッとフスマが開き、
「またそんなところにいる! 布団干したばっかりなんだから、もう、ペチャンコになっちゃうでしょ!!」
母親がすさまじい形相をして立っていて、ズルズルとひきずり降ろされてしまった。
「子供は外で遊びなさい!」
と怒られてしまったが、外で見るボールは単に黄色っぽい色をした半透明の何の変哲もない玉にすぎなかったので全然つまらなかった。ひざにボールをのっけて手でカゲを作って遊んでいるうちに、私は急にホタルのことを思い出した。
「これをお尻につければホタルみたいになるかもしれない」
すぐさまうちの汚い物置の中にかけこんだ。暗い物置の中でボールはますます青白く光った。私はカビとホコリとクモの巣が一緒くたになっている中で、おもむろにスカートをまくり上げ、はいていたパンツのお尻のところにそのボールを入れてみた。木綿の布地をとおしてうっすらと青白い光がすけて見え、私はひどくうれしくなって、
「ほーたる、ほたる」
と歌いながらホコリくさい物置の中でピョンピョンはねまわった。そのたんびにボールはピコンピコンと上下に揺れ、私は本当にホタルのようになった気がした。図にのって狭い中でとびはねていたら、ガツンと何かにぶつかって目から火が出た。棚の上に置いてあった大工道具入れのカドにみごと命中してしまったのだ。涙がじわーっと出てきた。尻は光り、目から火が出るえらい騒ぎであった。そのうちぶつけた所がカーッと熱くなってジンジンしてきて、私はあまりの痛さにガマンできず、ヨロヨロと物置から出て母親のところにいってそばで涙をためたままじーっと立っていた。最初はオロオロしていた母親もパンツの中にボールを入れている私の姿をみて、
「本当に何やってるのよ、この子は!!」
と急に怒り出し、私はお尻をバンバン叩かれてしまった。
デパートのおもちゃ売場で子供たちがずらっと並んでテレビゲームの画面をニラみつけながら黙々とキーを叩いている姿を見て、この子たちも私みたいにバカで無邪気なことをやっているのだろうかとふと心配になってしまった、今日このごろである。
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