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撫で肩ときどき怒り肩19

时间: 2020-02-08    进入日语论坛
核心提示:男と暮らす必要がない 私は今まで、「男と一緒に住みたい」と思ったことが、一度もない女である。一年にいっぺんくらい、「ああ
(单词翻译:双击或拖选)
男と暮らす必要がない

 私は今まで、「男と一緒に住みたい」と思ったことが、一度もない女である。一年にいっぺんくらい、
「ああ、この部屋に男の背中があれば、どんなにいいだろうか」
と思うことはある。しかし、三分くらいはそういう気分が持続するが、だんだん、
「その背中はブツブツ文句をいい、メシまで喰う。洗濯もしてやらなきゃならない」
などと考えはじめると、結局は、
「あー、面倒くさい! 一人のほうがよっぽど気楽でいいや」
で、一件落着してしまい、私の男性関係に何の進展ももたらさないのである。
だいたい私の今の生活では、男と暮らす必要が何もない。おかげさまで欲しいと思ったものは買えるし、自分ひとり食べていけるくらいの収入はある。電話をかけたり会って楽しくお話しできる男性の友達もいる。朝は好きな時間に起き、夜は好きな時間に寝られる。へとへとになって帰ってきて、部屋の中が汚れていようとも、自分さえ我慢すれば家事を明日に引き延ばすことだってできる。晩ごはんを食べたあと、大の字になってタタミの上にひっくりかえり、
「あー、喰った、喰った」
と、デレーッとしていても、誰にも文句をいわれない。こうしていると、
「こんなひとときを男なんかに邪魔されてたまるか」
という気持ちになってくるのだ。
私は全然覚えてないのだが、小学校からの親友がいうことには、昔、彼女の家でお人形さんごっこをしているときに、唐突に私は、
「あたしは結婚しないの。ずーっと一人で働くの」
と、おかっぱ頭をゆすりながらいったそうである。
「そのとおりになってるわねえ」
と彼女は感心していたが、我ながら「当時いったい何を考えていたのだろうか」と理解に苦しんだのも事実である。私の父親は定収入がないのにもかかわらず、一時代前の亭主関白をひきずっている男で、母親が働くのを頭っから認めようとしなかった。家に帰ってきても母親が買物にいっていなかったりすると、
「ママはどこにいった」
と、大騒ぎするのである。私は、|きいちのぬりえ《ヽヽヽヽヽヽヽ》をしながら、そんな父親を、
「こいつ、バカじゃなかろうか」
と冷たい目をしてみていた。妻がいなければ夜も日も明けぬ愛妻家のように見えるが、実は自分のわがままばかり妻におしつけて、家のなかにとじこめておこうとする態度がミエミエで、私は子供のころから、男はずるいと思ってきたような気がする。それでも、私の父親が特殊なタイプで、世の男性は違うのだろうと、一縷の望みをいだいていたのである。ところが、私の父親だけがそうではなくて、世の男どももそういう一面をもっていることがわかって愕然《がくぜん》とし、そのとたん、世の中の男がみんなバカに思えてきた。そしてそれは、二十代が終わるまで続いた。最近やっと非常に数は少ないがいい男もいるのだ、ということがわかった。でも、そういった男を自分のものにしたいかっていうと、そうではない。ある程度の距離をおかないと、疲れてしまうからである。お互いが会いたいときに会って、そのとき楽しくすごせれば、それでいい。どうしても結婚しなければならないのなら、私には別居結婚か通い婚しかありえないのだ。
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